Disc Review

Do Not Dare to Dream / Teenage Fanclub (Merge Records)

ドゥ・ノット・デア・トゥ・ドリーム/ティーンエイジ・ファンクラブ

先月、来日もしてくれたティーンエイジ・ファンクラブ。3年ぶり、通算13作目となるスタジオ・アルバム、出ました。

本ブログではなにかと取り上げていて——

そのたび、1991年の大傑作『バンドワゴネスク』で受けた衝撃をしつこく振り返ったりしているわけですが(笑)。当時の轟音パワー・ポップから大きく離れて、年輪を重ねた彼ららしい穏やかで成熟したインディ・フォーク〜サイケ・ポップ的な音作りの下、独自のメロディ感覚とコーラス・ハーモニーを聞かせてくれる近年の感じもなかなか。泣けます。

でも、もちろん視点はシャープで。今回もアルバム・タイトルからして“Do Not Dare to Dream”。夢なんて見ちゃダメだ、と。

いや。でも、これ、別に夢も希望も失ってしまったオヤジたちの愚痴ってわけではなく。タイトルの元になった「アイ・ドゥ・ノット・デア・トゥ・ドリーム」を書いたノーマン・ブレイクによれば、最近の世の中に溢れる“夢を持て”とか“夢に向かって進め”とかいう自己啓発的なメッセージに対するシニカルな気分を託したものらしい。

とか言いながら、このどんづまりっぽい時代にあっても、最終的にどこか楽観的な感触を忘れないのがティーンエイジ・ファンクラブのいいところ。ジェラード・ラヴが離脱後、デビュー以来の三頭体制からノーマンとレイモンド・マッギンリーとのツー・トップ体制になってこれで3作目。今回もソングライティングはノーマンとレイモンドがきっちり折半。5曲ずつを持ち寄っている。スコットランド北西部、アウター・ヘブリディーズ諸島にあるグレート・バーネラ島という孤島のブラック・ベイ・スタジオでの録音とのことで。ストーンヘンジよりも古い環状列石(ストーン・サークル)が残る島で、かつてカニの加工工場だった建物を改装したスタジオに14日間こもってレコーディングされたらしい。

先行シングルとして出ていたポップで軽快な「デイ・イン・ザ・サン」のような曲にも胸ときめくけど、近年のシンガー・ソングライターっぽいフォーク・ロックものも泣ける。ツー・トップ編成になった当初、ちょっとこじれ気味だったノーマンも、アルバムを重ねるごとに少しずつ解放されてきたか、今回はさらに風通しのいい、穏やかな空気感へ。レイモンドも穏やかさと無骨さをいい感じにミックスした、どこかニール・ヤングとかジョン・レノンとかに通じるような感触をもたらしていて。

近年のティーンエイジ・ファンクラブの持ち味である、緻密に織り込まれたメロディと温かみのあるテクスチャーがアルバム全編に散りばめられてます。『バンドワゴネスク』を聞いたとき、バンドのこういう未来を想像もしなかったけど(笑)。

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