Disc Review

Early Daze / Neil Young & Crazy Horse (Reprise Records)

アーリー・デイズ/ニール・ヤング&クレイジー・ホース

ニール・ヤングとクレイジー・ホース。

途中、また離れたり、改めてタッグを組み直したり。くっついたり離れたりを頻繁に繰り返しながらの活動ではあるけれど。それでも、出会って半世紀以上。両者のコンビネーションは特別であり続けている。リズム隊以外の顔ぶれが変わっても、今なおやっぱり鉄壁。

とはいえ、そんな彼らにももちろん始まりのときがあって。クレイジー・ホースがまだザ・ロケッツという名前で活動していたころ、1968年に《ウィスキー・ア・ゴーゴー》でニールのライヴを初めてサポートしたのをきっかけに、ともにアルバムのレコーディングもするようになって。

そんなアーリー・デイズ、初期のレコーディング・セッションで記録されたフレッシュかつレアな音源を10曲まとめた1枚。昨深夜にストリーミングがスタートしてから繰り返し聞いてます。デイズと言っても Days ではなく Daze。まじうれしくて、確かにくらくらしちゃう(笑)。

一連の“ニール・ヤング・アーカイヴズ”プロジェクト内の“スペシャル・リリース・シリーズ(SRS)”として、これまで『ヒッチハイカー』(SRS Vol.5)とか『ホームグロウン』(SRS Vol.2)とか『トースト』(SRS Vol.9)とか『クローム・ドリームズ』(SRS Vol.6)とか、順不同でいろいろ出ていましたが、その中ではこれが最古録音ということで、通し番号的に言うとSRS Vol.1ということになるみたい。

このときのクレイジー・ホースのメンバーは、ニールさんのセカンド・アルバム『ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース(Everybody Knows This Is Nowhere)』(1969年)と、サード『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』(1970年)、それぞれのセッションに関わっていた顔ぶれ、つまりダニー・ウィッテン(ギター、ヴォーカル)、ビリー・タルボット(ベース)、ラルフ・モリーナ(ドラム)、そしてジャック・ニッチ(キーボード)。

収められているのは全10曲で。オープニングを飾っている「ダンス・ダンス・ダンス」のみ既出。2009年に編まれたどでかい箱『ニール・ヤング・アーカイヴズVol. 1 1963–1972』に未発表ヴァージョンとして収められていたのと同じ音源だ。あと、「シナモン・ガール」は1970年にシングルで出たアルバム未収録のモノラル・ミックス。エンディングにアルバム・ヴァージョンでは聞けないギターのアウトロがちょこっと付いている。

で、残る8曲が今回初お目見えとなる未発表音源だ。「エヴリバディーズ・アローン」も前出の箱『アーカイヴズVol. 1』に入っていたけれど、そのときとは別ミックス。「バーズ」は『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』収録のヴァージョンではなく、「オンリー・ラヴ(Only Love Can Break Your Heart)」のシングルB面曲として世に出たほうのヴァージョンながら、あちらはモノ・ミックス。今回のは未発表のステレオ・ミックスだ。しかも、シングルは1分半ちょっとにエディットされていたけれど、こちらは前に付いてる短いスタジオ・トークを含めて3分半ちょいの尺。ちょっとうれしい。「ダウン・バイ・ザ・リヴァー」は別ヴォーカル・ヴァージョン。コーラスが真ん中にミックスされていて、いい感じ。

その他の「レッツ・ゴー・ダウンタウン(Come on Baby Let's Go Downtown)」「ウィンターロング」「ワンダリン」「ルック・アット・オール・ザ・シングズ」「ヘルプレス」は初出の未発表ヴァージョン。「ワンダリン」は『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』50周年盤のボーナスで出た2ヴァージョンよりシンプルでいいかも。「ウィンターロング」も素朴でいいヴァージョン。「ヘルプレス」はCSNYでやる前にクレイジー・ホースとやっていた伝説のヴァージョン、初オフィシャル・リリースかな。「…ダウンタウン」もニール&ホース名義のスタジオ・ヴァージョンとしては初?

曲によってニールさんとともにヴォーカルを担うダニー・ウィッテンの様子も含めて、若々しいなぁ…とも感じるし。いや、でも、リズム隊との関係性は半世紀を経てなお、なんだか何ひとつ変わっていないじゃん、とも思えるし。すごい出会いだったんだな、と改めて。

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