Disc Review

Reasons / Lindsey Webster (Shanachie)

リーズンズ/リンジー・ウェブスター

ちょっと前、9月ごろに出ていた盤ですが。紹介しそびれていたので、超遅ればせながらのピックアップです。スムース・ジャズ・チャートの常連。クロスオーヴァー・ジャズ系のトップ歌姫。リンジー・ウェブスターの新作だ。

これまで公私にわたるパートナーとしてタッグを組んできたキーボード・プレイヤー、キース・スラタリーとは2020年の前作『ア・ウーマン・ライク・ミー』を出したころ別れちゃったようだけれど。でも、円満な離婚だったらしく、音楽的なパートナーシップは継続。本作でも収録された12曲、すべて二人の共作曲とクレジットされている。

今回も極上のアダルト・コンテンポラリー・ソウル・ジャズみたいな? 今どきのスムース・ジャズ的な? いや、クワイエット・ストームとか? そういうジャジーでメロウで精緻でちょっぴりソウルフルな音像を届けてくれる。1970年代後半から80年代にかけて、こういうサウンドを新鮮に、わくわく楽しんでいたなぁ。なんだかものすごく懐かしい気分になる。そういう意味ではこれまで通りっちゃこれまで通りの仕上がりなのだけれど。節目節目、グルーヴが少しタイトかつソリッドになった感も。コーラスのあしらい方も素敵だ。そういえばこの人、ウッドストック生まれなんだよね。なるほど。

今年アタマに先行シングルとしてリリースされた「アイ・ディドント・ミーン・イット」はブライアン・カルバートソンをフィーチャーしたナンバー。トロンボーンを核にしたホーン・アンサンブルが実に的確でかっこいい。ネイサン・イーストお得意のヴォーカル+ベースのユニゾン・ソロをフィーチャーした「ラヴ・オヴ・ユア・ライフ」もメロウで妖しいミディアム・スロー・グルーヴもので、これまたごきげん。

ランディ・ブレッカーのフリューゲル・ホーンをフィーチャーした「ステイ・ウィズ・ミー」はケヴ・チョイスによるラップ入りとラップなしの2ヴァージョン。クールなコード感がいかしてます。ニコラス・ペイトンのトランペット・ソロが渋い「アイム・OK」もいい。個人的には、「ウィッシュ・ユー・ウェル」のようなドナルド・フェイゲンっぽいホーン・セクションを導入した曲が特にぐっとくるかな。

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