Disc Review

Long Distance Love: A Sweet Relief Tribute to Lowell George / Various Artists (Flatiron Recordings)

ロング・ディスタンス・ラヴ:ア・スウィート・リリーフ・トリビュート・トゥ・ローウェル・ジョージ/ヴァリアス・アーティスツ

先週末に紹介した『サムズ・プレイス』に続いて、週明けもリトル・フィート関連で。

肉体的/精神的な健康問題、障害、加齢に伴う問題などから生活が苦しい音楽家、あるいは音楽業界で働く者たちを経済的に支える基金“スウィート・リリーフ” とのコラボレーションで企画されたローウェル・ジョージへの2枚組トリビュート・アルバム。

CDもLPも、フィジカルは今のところスウィート・リリーフのWEBショップバンドキャンプでしか売っていなくて、一般的なWEBレコード・ショップが扱うのは今月末になってからみたいだけれど、ストリーミングはスタートしているので紹介しちゃいますね。

参加しているのは、エルヴィス・コステロベドウィンギャビー・モレノエレーニ・マンデルドーズのテイラー・ゴールドスミスラリー・ゴールディングズマイク・ヴァイオラベン・ハーパーなど、本ブログにもちょいちょい顔を出してきた方々をはじめ、マディソン・カニンガム、デイヴ・アルヴィン、レディ・ブラックバードことマーリー・マンロー、彼女のプロデュースでもおなじみのクリス・シーフィールド、ジョナー・トルチン、アンドラス・ジョーンズ、シュガーレイ・レイフォードら気になる顔ぶれだ。

パワー・ポップ系、シンガー・ソングライター系、ルーツ・ロック系、ブルース系、ラテン系…いろいろ取り混ぜた連中がそれぞれ感じるままに、ローウェル在籍期のリトル・フィートの諸作はもちろん、ソロ作『特別料理 イート・イット・ヒア(Thanks I'll Eat It Here)』、そしてジャクソン・ブラウンの『孤独のランナー(Running on Empty)』に収められていたジャクソンとの共作曲なども含めたローウェル・ジョージ作品の世界観を各々自分のものへと昇華しつつ、ローウェルが内包していた多彩な音楽性をひとつひとつ深めながら聞かせている。面白い。

ローウェルの愛娘イナラ・ジョージ/ザ・バード&ザ・ビーを筆頭に、ライ・クーダーの息子さんのホアキム・クーダー、ローウェルの後を受けて現在リトル・フィートで活躍中のフレッド・タケットの息子であるマイルズ・タケット、スティーヴン・スティルスの息子のクリス・スティルスなど二世ミュージシャンも多く参加しているあたり、ローウェル・ジョージの功績が世代を超えて影響を与え、受け継がれている証のようで。泣ける。個人的にはオリジナル・ヴァージョンではタワー・オヴ・パワーのホーン・セクションが担っていたファンキーなリフをストリング・アンサンブルに置き換えたイナラの「スパニッシュ・ムーン」が特にお気に入り。

これ聞きながら、ローウェルの曲の深さ、幅広さを再確認。とともに、こういうトリビュートもの聞いたときの常で、また改めてローウェル〜フィートのオリジナル・ヴァージョンに触れ直したくなる、と。そういう感じです。

Resent Posts

-Disc Review
-,