Disc Review

The Boy Named If: Alive at Memphis Magnetic / Elvis Costello & The Imposters (EMI)

ザ・ボーイ・ネームド・イフ(アライヴ・アット・メンフィス・マグネティック)/エルヴィス・コステロ

なんか、このところずいぶんといろんな増補拡張エディションが出ていて。

今日リリースのものとしては、アラバマ・シェイクスの『ボーイズ&ガールズ』の10周年記念盤(Amazon / Tower)とか、マイ・モーニング・ジャケットの2011年作品に10曲の未発表デモを追加した『サーキタル』のデラックス・エディション(Amazon / Tower)とか、エコー&ザ・バニーメンの『エヴァーグリーン』の25周年記念盤(Amazon / Tower)とか。ちょっと前に出たものとしては、ハンブル・パイのA&M在籍時のアルバム7作にレアリティーズ音源集をプラスしたCD8枚組『ジ・A&M CDボックスセット 1970-1975』(Amazon / Tower)とか。あ、マイケル・ジャクソンの『スリラー40』(Amazozn / Tower)もそうか。

まあ、普通は10年前とか、20年前とか、ちょっと前のアルバムの増補版みたいなやつが多いわけだけれど。今日紹介するのは、ほんの1年弱前に出たアルバムの増補版だ。テイラー・スウィフトもわりとそういうことしがちで。ついていくのが大変だったりするわけですが。

今日の主役はエルヴィス・コステロだ。今年のアタマに出た新作『ザ・ボーイ・ネイムド・イフ』の増補拡張版。1年足らずのエクステンデッド・エディションということもあってか、今回はさすがにデジタル・オンリー。配信のみでのリリースだ。

今回追加されたのは11曲。うち、まず10曲が2021年10月と2022年5月のメンフィス・マグネティック・レコーディング・スタジオでジ・インポスターズとチャーリー・セクストンとともに録音された『ザ・ボーイ・ネームド・イフ』収録曲(「マグニフィセント・ハート」「ペネロピー・ヘイプニー」「ホワット・イフ・アイ・キャント・ギヴ・ユー・エニシング・バット・ラヴ」「ザ・ボーイ・ネームド・イフ」)、および1983年の名曲「エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック」のツアー・リハーサル・ヴァージョン、日本盤ボーナスに入っていたニック・ロウの「トゥルース・ドラッグ」、そしてザ・バーズの「ロックン・ロール・スター(So You Want to Be a Rock 'n' Roll Star)」、ウイングスの「レット・ミー・ロール・イット」、ローリング・ストーンズの「アウト・オヴ・タイム」、ビートルズの「ヒア、ゼア・アンド・エヴリホエア」のカヴァー。

で、あと1曲が日本のヒップホップ・デュオ、チェルミコと共演した「マグニフィセント・ハート」のごきげんなリミックスというかリメイク・ヴァージョン。日本語ラップとコステロの絡み合いだ。この11曲をディスク2として、ディスク1にオリジナルの『ザ・ボーイ・ネームド・イフ』13曲を入れて。とりあえずフィジカル・リリースはないものの、いちおう2枚組仕様でデジタル配信されています。

「ペネロピー・ヘイプニー」がそのまま「ロックン・ロール・スター」になだれ込んでいたり、「ザ・ボーイ・ネームド・イフ」が「レット・ミー・ロール・イット」とつながっていたり。オリジナルとカヴァーの境目をあえてなくしている感じとか、すごくかっこいい。「アウト・オヴ・タイム」とかではダビングとかも少なからず行なわれているようで、スタジオ・ライヴ形式だからといって一発録りにこだわっているわけではないらしき姿勢も楽しい。

この「アウト・オヴ・タイム」とか、コステロのヴォーカルも含めてほんとにいいカヴァーだと思う。サブスクのストリーミングで聞けるのはおサイフ的にもほんとありがたいけど。そんなふうにけっこういい出来の音源も多く。とりあえずはハイレゾ音源、入手しましたが。やっぱ、フィジカルほしいなぁ…。

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