Disc Review

Just Do It One More Time!: Captured Live At The Monterey International Pop Festival / Otis Redding with Booker T. & The M.G.'s + The Mar-Keys (Monterey International Pop Festival Foundation)

投稿日:2019.07.18 更新日:

2019年7月17日、NHKホールでの山下達郎さんのことなど、少し…

NHKホール、行ってきましたー! 達郎さんのコンサート。突然の気管支炎のため、先週末の中野サンプラザ公演を中止なさったりしていたもんで、今週のNHKホール公演の行方も危ぶまれていたけれど。すごいね。奇跡の回復力。ご本人も「ちょっとやそっとじゃ、山下達郎、潰れません」とMCしていらっしゃった通り、まじ、潰れていなかった。むしろ休養十分でいつも以上に快調!みたいな(笑)。まだまだツアーは続くので内容には踏み込みませんが、とにかくテッパンのレパートリーからレアな曲まで、相変わらず圧倒されっぱなしの3時間超。堪能しました。

でもって、やっぱり声だな、と。

歌声の力。魅力。底力。それを思い知った夜でもありました。日本一のシャープなギター・カッティングを繰り出す達郎さんも、ギターのネックを指揮棒のように駆使しつつ屈強のバンドを仕切るバンマス的な達郎さんも、まるで落語家さんみたいな口調でとぼけたMCを聞かせる達郎さんも、みんなすごいのだけれど。やっぱり、声。

声だけで“壁”みたいな(笑)。

魅力的な歌手って絶対にそういうかけがえのない歌声を持っているものだ。ひと声聞くだけで、速攻ノックアウトというか。歌手というのは、すべからくそうあってほしいものだと願うわけですが。今日紹介するアルバムも、そんな“声”の魅力が横溢する1枚。今年の4月、レコード・ストア・デイの際にアナログLPで限定リリースされた音源だ。もちろん、あっという間にソールドアウトしてしまったのだけれど。それが7月12日、めでたくストリーミング配信され始めたということで、ここで改めてご紹介です。

ライヴ・アット・ザ・モンタレー・インターナショナル・ポップ・フェスティヴァル/オーティス・レディング、ブッカー・T&MGズ、マーキーズ

1967年6月、カリフォルニア州モンタレーで開催されたモンタレー・インターナショナル・ポップ・フェスティヴァル。その後の野外フェスの基本形を作った重要なイベントとして語り継がれているけれど。そこで収録されたオーティス・レディングのライヴの模様だ。冒頭、スマザーズ・ブラザーズのトミー・スマザーズのMCに導かれて、まずはブッカー・T&MGズのインストから始まり、そこにマーキーズのホーン・セクションが加わり、続いてオーティスの登場する。

当時、オーティスは熱心なR&Bファンにはすでにおなじみの存在だったけれど、圧倒的に白人が多いロック・ファンたちの前で、伝説の5曲、「シェイク」「リスペクト」「アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー・トゥー・ロング」「サティスファクション」「トライ・ア・リトル・テンダーネス」を披露し、凄まじい存在感を炸裂させたのだった。とにかく声がすごい。分厚い。ぶっとい。激しい。それでいて切なく、悲しい。ここにもワン・アンド・オンリーな歌声が横溢している。たった5曲ながら、そのすべてが宝物のようだ。

ジミ・ヘンドリックスとの抱き合わせ盤などとして、これまでにも世に出ていた、まあ、おなじみっちゃおなじみの音源。とはいえ、最新リマスターが施され、パワー満点。例の歴史的MCも含まれているから。やっぱり見逃せない。聞き逃せない。そう、忌野清志郎の得意フレーズ“愛し合ってるかい?”を生んだ、あのMCだ。オーティスが「アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー…」を歌う直前、こんなふうなMCをぶちかます。

"We all love each other, don’t we? Am I right? Let me hear you say yeah!”

サマー・オヴ・ラヴの序章、フラワー・ムーヴメントに沸くカリフォルニアで敬愛するオーティスから放たれたこのひとことを、清志郎さんは“愛し合ってるかい?”と受け止め、自らのステージで日本の観客に向けて投げかけるようになったわけだ。

まあ、実際にはD.A.ペネベイカー監督による同フェスの記録映画『モンタレー・ポップ』が公開された際の日本語字幕がそのようになっており、清志郎さんはそれをそのままいただいただけとも言われているが。いずれにせよ、この少々乱暴な、腕尽くのような、ストレートすぎるような、でも、これしかないとも思える訳は清志郎さんの持ち味にぴったりだった。そういえば、“Let me hear you say yeah!”のほうも、「イェーと言え―っ」などとダジャレふうに訳してよく使っていたっけ。そして、この豪快なセンスがそのまま、彼がフロントを張っていたRCサクセションの洋楽ロック/ソウルに対する姿勢にもつながっていた気がする。

さらに、このライヴ盤の副題に添えられている“Just Do It One More Time!”というフレーズも、このバラードを歌っている途中で何度も何度も繰り出されるものだったりして。やー、なんだかコーフンする(笑)。こういう強烈なMCも含めて、オーティスの声の魅力を存分に味わえるライヴ盤であります。

オーティスはこのモンタレー・ポップ・フェスティヴァルが開催された1967年の暮れに悲劇の飛行機事故によって26歳という若さで亡くなってしまう。そんなことに思いを馳せても、とても貴重な瞬間の記録。半世紀以上の歳月を経ても、今なお胸を射貫く。

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