Disc Review

Holland-Dozier-Holland Anthology: Detroit 1969-1977 / Various Artists (Edsel Records)

ホーランド=ドジャー=ホーランド・アンソロジー:デトロイト1969〜1977/ヴァリアス・アーティスツ

いつもならスロウバック・サーズデイ恒例ってことで、毎週木曜日はあれこれテーマを立てたストリーミングのプレイリストをセレクトしているのだけれど。昨夜のダイアナ・クラールさんのコンサートが素晴らしく。大いに盛り上がっちゃったもんで、今朝は思いきり寝坊(笑)。プレイリスト選ぶ時間もなく。

てことで、今朝はぼくごときの即席プレイリストなどどうでもよくなる、強力なオフィシャル・プレイリスト的な、ごきげんなコンピレーションCDをご紹介することにします。

1960年代、モータウン・レコードの下、“ザ・サウンド・オヴ・ヤング・アメリカ”と呼ばれるソリッドでタイトでスウィートな名曲群をばりばり量産していた最強ソングライター・チーム、ホーランド=ドジャー=ホーランド。ブライアンとエディのホーランド兄弟とラモン・ドジャーという3人ですが。彼らは1967年、モータウンの親分、ベリー・ゴーディー・ジュニアと印税の分配などをめぐってドロドロの法廷闘争に突入。

それを契機に3人は1968年初頭、モータウンを去り、自分たちのレーベル、インヴィクタス・レコードとホット・ワックス・レコードを設立して新たな活動に歩を踏み出し、まあ、さすがにモータウンと同等とまではいかないものの、それなりの成功を収めることになるわけですが。傘下のミュージック・マーチャント・レーベルの作品も含めて、その時期の代表的音源を集めた4枚組アンソロジーです。

1970年代になって本格的に盛り上がることになったソウル新時代、ホーランド=ドジャー=ホーランドたちが“ザ・クリエイティヴ・コーポレーション”を自称しつつ、どんなヴィジョンをもって音をクリエイトしていったのかをたどり直す全68曲。チェアメン・オヴ・ザ・ボード、ハニー・コーン、フリーダ・ペイン、ワン・ハンドレッド・プルーフ、フレイミング・エンバー、ローラ・リー、エイス・デイ、グラス・ハウス、エロイーズ・ロウズ、バリノ・ブラザーズなどのキャッチーでグルーヴィなデトロイト・ポップ・ソウルを堪能できる。

ストリーミングでも全曲楽しめるけど、ソウル音楽と社会変革に関する一連の著書でおなじみ、スチュアート・コズグローヴによる興味深いライナーノーツはもちろんフィジカルのみ。ホーランド=ドジャー=ホーランドとモータウンとの間にどんな問題があったのか、モータウンを去った後もどうもめ続けたのか、なども含めて、いろいろ勉強になります。

値段が倍くらいするけど、アナログ4枚組もあり。魅力的だ…。ううーっ。

Resent Posts

-Disc Review
-,