Disc Review

Song Machine / The Exbats (Goner Records)

ソング・マシーン/ジ・エクスバッツ

「1965年から1975年まで、45回転ドーナツ盤を買っていたキッズたちのために俺たちはごきアルバムを作ったんだ」

と、ジ・エクスバッツのケニー・マクレインは語る。やばい。それ、俺のことじゃん。しかも1965年から1975年なんか軽く超えて1980年代いっぱいまで、7インチ・アナログ・シングル買い続けてきたキッズ。それがワタクシです。

なもんで、このアルバム、まさにぼくのためにあるってことで。聞かせていただきましたー。エクスバッツ、待望の5作目『ソング・マシーン』。でもって、またまた楽しく盛り上がらせていただきました。いや、思いきりゆるいんだけどね。でも、楽しい。

米国南西部、アリゾナ州ビズビー出身のケニー・マクレイン(ギター)と、その娘さんのイネス(ドラム、ヴォーカル)による父娘デュオ。自分たちの音楽を“バブルガム・ガレージ・パンク”とか称してますが。ケニーさんはモンキーズの大ファンらしく。つい“パパ・ネス”ことマイク・ネスミスにちなんで娘にイネスという名前をつけちゃったというし。かなりのツワモノって感じ。

ケニーさんが40歳、イネスちゃんが10歳のときにバンドを結成。地元での活動を経て2016年に本格アルバム・デビューを飾ってからは、あの手この手の古き良きロックンロール・グルーヴを今の時代に蘇らせ続けて。で、本5作目でも変わらずその深みを突き進んだ趣味性の高い音を聞かせてくれている。

バブルガム・サウンドあり、ビーチ・ボーイズっぽいのあり、ニコみたいなフォーク・ポップ調あり、ガレージ・ロックンロールあり、ブリル・ビルディング系ガール・グループものあり、パワー・ポップものあり…。どれも相変わらずゆるゆるではあるけれど、デビュー当初に比べればかなり音作りも的確になってきてはいます。

イネスさんが語るところによると、「私たち、キンクスみたいな感じで成長しているの。彼らも最初はガレージ・パンクみたいな感じで始まって、だんだん多彩な音楽性を聞かせるようになったでしょ。エクスバッツもそんなふうになってきているかも」と。比べる相手がおこがましいほどにでかすぎる気もするけれど。まあ、オーケー。楽しいから許す。頼もしい。

デジタル・リリース以外、フィジカルは今のところヴァイナルのみみたい。それもまたよき!

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