Disc Review

Digging Deep: Subterranea / Robert Plant (Rhino/Warner)

ディギング・ディープ:サブテラネア/ロバート・プラント

レッド・ツェッペリンが解散してから40年。ソロ・アーティストとして他のどのメンバーよりも活発かつ独自な活動を続けているロバート・プラントのキャリアを振り返る新アンソロジーが編まれた。

ロバート・プラントのベスト盤というと、2003年、プリ・レッド・ツェッペリン時代のレア音源や映画のサントラ曲などまで対象を広げたディスク2が強力だったCD2枚組アンソロジー『シックスティ・シックス・トゥ・ティンブクトゥ』があったけれど。あれが出てからすでに17年。その間に、アリソン・クラウスとの共演盤も含めて5作のオリジナル・アルバムがリリースされている。確かに新たなベスト・セレクションを編纂するにはいいタイミングだったかも。

去年スタートしたプラントさんのポッドキャスト・シリーズ“ディギング・ディープ”も好評。いよいよサード・シーズンに突入するそうで。それに合わせる形で自ら選曲した30曲だ。前ベストのように、ツッペリン以前の時期にまでセレクションの対象を広げているわけではなく、ツェッペリン解散後、1982年のソロ・アルバム『11時の肖像(Pictures at Eleven)』以降のソロ・アルバムからの楽曲群がピックアップされている。

前アンソロジー『シックスティ・シックス…』とは一部、たぶん6曲かな、曲もダブってはいるけれど、意味合いがまったく別物。ということで、結局、両方揃えておかないとってことですかね。まあ、できることなら別ヴァージョンを入れるとか、ライヴ・ヴァージョンに差し替えるとか、してもらえたらうれしかったけれど。まあ、それは贅沢かつ身勝手な要求か。すんません。

もちろん、いろいろな意味で“独自”なプラントさんのこと、普通ののっぺりした代表曲集みたいにはなっていない。コラボ・アルバムは対象外ということなのか、たとえば前アンソロジーには選曲されていたハニードリッパーズとか、アリソン・クラウスとの『レイジング・サンド』からの音源とかはなし。ソロものでも、1985年の『シェイクン・アンド・スタード』からは1曲も収録されず、かと思うと、1993年の『フェイト・オブ・ネイションズ』からは5曲選ばれていたり。そのあたりから、今回の“意図”を各自聞き取ることが大事かも。

特にクロノロジカルに曲が並んでいないことも、むしろプラントさんの多様性のようなものを素直に楽しむうえで効果的。「ハーティング・カインド」みたいなキャッチーなハード・ポップ系から、「シャイン・イット・オール・アラウンド」みたいなブルース・ロック系、「エムブレイス・アナザー・フォール」みたいなハイパーなワールド・ミュージック系、「ファット・リップ」みたいなポップ・ロック系、「ビッグ・ログ」のようなエキゾチックなトゥワンギー系、「フォーリング・イン・ラヴ・アゲイン」みたいな切ないカントリー・バラード系まで。一本の強い意志に貫かれたうえでの大きな振れ幅が楽しい楽しい。

うれしい未発表曲は3曲。いちばんしびれたのは、ニューオーリンズ系R&Bシンガー、トゥーサン・マッコールが1967年に全米R&Bチャート5位に送り込んだ「ナッシング・テイクス・ザ・プレイス・オブ・ユー」のカヴァー。2013年の映画『ウィンター・イン・ザ・ブラッド』のサウンドトラックとしてレコーディングされたものだ。さらに、“バンド・オブ・ジョイ”名義でリリースされる予定のニュー・アルバムからの新録だという超ブルージーな「チャーリー・パットン・ハイウェイ」と、チャーリー・フェザーズが1957年にリリースしたカントリー/ロカビリー・チューンをパティ・グリフィンとのデュエットでカヴァーした「トゥー・マッチ・アライク」と。どれも素晴らしい。

やはりこの人にとってはレッド・ツェッペリンすら、その雄大な振れ幅のほんの一コマにすぎなかったのかな的な、そんなことを改めて思い知るアンソロジーです。クセ強めだけど…(笑)。

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