ウォーター・メイド・アス/ジャミーラ・ウッズ
詩集とかもたくさん出しているシカゴのネオ・ソウル系シンガー・ソングライター、ジャミーラ・ウッズ。3作目のフル・アルバム、出ました。久々。4年ぶり?
2017年の『ヘヴン』、2019年の『レガシー! レガシー!』という過去2作では黒人フェミニスト運動を巡る主張のようなものが大テーマとして強く打ち出されている感じだったけれど。今回はよりパーソナルな仕上がり。
もちろん、ニッキ・ジョヴァンニとジェイムズ・ボールドウィンの対話がサンプリングされていたり、そっち方面の要素も随所に盛り込まれてはいる。アルバム・タイトルは「グッド・ニュース」という曲で歌われる“いい知らせは、水はいつも元来た場所に戻っていくということ/いい知らせは、水が私たちを作ったということ”という歌詞から取られたもので。これは詩人としてのジャミーラさんに大きな影響を与えたというトニ・モリソンが講演で述べた言葉を引用したものらしいし。
でも、収録曲の大半は新型コロナ禍のロックダウンの間に改めて見つめ直した他者とのつながりとか、愛とか、喪失感とか、再出発への思いとかを、ちょっぴり哲学的に、けれどぐっとオープンハートな感じに綴ったもので。まあ、こういう言い方は軽すぎる気もしなくはないけれど、ぼくのようなお調子者にもとっつきやすいかも(笑)。
1970年代のマーヴィン・ゲイっぽい音楽性に寄った曲があったり、ジョニ・ミッチェルっぽいフォーキーなニュアンスを取り込んだ曲があったり、これまで以上にジャジーな切り口を感じさせるメロウなアンサンブルを導入していたり。BGMっぽく音だけに身を委ねることもできそうな世界観というか。時折、今どきのベッドルーム・ポップに近い感触をも届けてくれる。
共同プロデュースはクリス・マクレニー。以前、本ブログでも紹介したことがあるニューヨーク系のデュエンディータとか、同じシカゴの仲間であるサバやジア・マーガレット、ピーター・コットンテールらもゲスト参加。素敵な彩りをもたらしてます。