Disc Review

The Soul Side Of Sipp / Mr. Sipp (Malaco Records)

ザ・ソウル・サイド・オヴ・シップ/ミスター・シップ

“ザ・ミシシッピ・ブルース・チャイルド”なるニックネームでもおなじみ、ファンキーでグルーヴィなブルースを得意とするミスター・シップことカストロ・コールマン。トラディショナル・ブルース的だったり、ブルース・ロック的だったり、コンテンポラリー・ブルース的だったり、ゴスペル的だったり、様々な表情を併せ持つ実力派ブルースマンだけれど。

そんなシップ氏のソウル的な味にスポットを当てた1枚、出ました。この人、ヴォーカルもソウルフルだし、アグレッシヴに切れ込んでくるギター・プレイも超ファンキーだし、曲作りもコンパクトでソリッドだし。もともとブルースの枠にちんまり収まっているようなタマではなく。

2020年、サウンドを思いきりソウル方向に振り切ったシングル「プレイド・ユアセルフ」をリリース。それを皮切りに、2021年には「リアル・マン」、2022年には「アイル・テイク・ハー」「トレイル・ライド」「ゲット・ライト・マン」「グロウン・アンド・セクシー」「カム・オン・オーヴァー」と、同路線のシングルをたたみかけ続けて。

で、いよいよそれらの曲を全部ぶちこんだアルバムを編んでくれた、と。そういうわけです。既発の7曲に、さらなるソウルもの5曲を追加して、「リアル・マン」のリミックス版も添えた半分ベストみたいな1枚。ごっきげんだー。

メンフィスっぽかったり、フィリーっぽかったり、シカゴっぽかったり、マイアミっぽかったり、ニューヨークっぽかったり…。スローからミディアム、アップまで。多彩なスタイルのソウル・ミュージックをミスター・シップ流に料理して聞かせてくれる。ゴスペルっぽい歌心と説得力もすごいし、ソロにバッキングに、自慢のギターも堪能できるし。

名門マラコ・レコードからのリリースだけれど、フィジカルはなく。今のところデジタル・リリースのみ。でも、これは間違いなくアナログLPで聞きたい1作です。サブスクのストリーミングで満喫しながら、フィジカル・リリース、心待ちにしてます。

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