Disc Review

The Randy Newman Songbook, Vol. 1 / Randy Newman (Nonesuch)

ザ・ランディ・ニューマン・ソングブックVol.1/ランディ・ニューマン

輸入盤は9月末に出ていて。ぼくも出た直後から聞きまくっていたのだけれど。国内盤が12月に出る予定なので、ちょっと遅れたものの、とりあえず紹介しておきましょう。ランディ・ニューマンが自らの既発楽曲の中から選りすぐった名曲たちを、ピアノ一本の伴奏で再演した作品集。いわば1970年の必殺の名盤『ニルソン・シングス・ニューマン』を自分ひとりでやってのけたような内容で。これが素晴らしい。ジミー・ウェッブの『10イージー・ピーシズ』とかバリー・マンの『ソウル&インスピレーション』とかブライアン・ウィルソンの『駄目な僕』とか、あの辺のセルフ・カヴァー盤と共通する一枚かも。もともと完成度の高かった楽曲群を、見事に年輪を重ねた歌声/歌心でもってじっくり醸造させた感触がたまらない。

収録曲の内訳としては、1968年のファースト・アルバム『ランディ・ニューマン』からは「リヴィング・ウィズアウト・ユー」と「アイ・シンク・イッツ・ゴーイング・トゥ・レイン・トゥデイ」の2曲。70年の『12ソングズ』からは1曲もなし。72年の傑作『セイル・アウェイ』からはさすがに「ロンリー・アット・ザ・トップ」「ゴッズ・ソング」「ユー・キャン・リーヴ・ユア・ハット・オン」「セイル・アウェイ」「ポリティカル・サイエンス」の5曲が選ばれている。74年の『グッド・オールド・ボーイズ』からは「ルイジアナ1927」「レッドネックズ」「マリー」の3曲。77年の『リトル・クリミナルズ』からは「イン・ジャーマニー・ビフォア・ザ・ウォー」。79年の『ボーン・アゲイン』からは「イッツ・マネー・ザット・アイ・ラヴ」。83年の『トラブル・イン・パラダイス』と88年の『ランド・オヴ・ドリームズ』からはともに1曲もなし。そして、99年の『バッド・ラヴ』からは「ザ・ワールド・イズント・フェア」「ザ・グレイト・ネイションズ・オヴ・ヨーロッパ」の2曲だ。

ちなみに、「ロンリー・アット・ザ・トップ」「リヴィング・ウィズアウト・ユー」「アイ・シンク・イッツ・ゴーイング・トゥ・レイン・トゥデイ」の3曲は71年にリリースされたソロ・ピアノ弾き語りによる『ライヴ』でも演奏されていた。若いころのアプローチと、年輪を重ねてからのアプローチとを聞き比べてみるのも面白いかも。

映画関連では、81年の『ラグタイム』、そして90年の『アヴァロン』からそれぞれのメイン・テーマがピアノ一本で再演されている。99年の『トイ・ストーリー2』のサントラ盤にはサラ・マクローレンのヴォーカルで収められていた「ホエン・シー・ラヴド・ミー」の自演ヴァージョンも興味深い。70年、映画『幸せをもとめて(The Pursuit Of Happiness)』のために書かれた「レット・ミー・ゴー」もうれしい1曲。当時、バーブラ・ストライザンドやザ・ボックス・トップスによるカヴァー・ヴァージョンも生まれたが、映画で使われたニューマン自身のヴァージョンはリリースされずじまい。98年になってから4枚組CDボックス・セット『Guilty: 30 Years Of Randy Newman』で初めて公式にお目見えした楽曲の最新再演ヴァージョンだ。

ノンサッチと契約しての第一弾。これを含めて3枚のアルバムが予定されているそうだ。楽しみ。 

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