Disc Review

The Fraternal Order Of The All: Greetings From Planet Love (2023 Remaster) / Andrew Gold (Esoteric Recordings/Cherry Red)

ザ・フラターナル・オーダー・オヴ・ジ・オール:グリーティングズ・フロム・プラネット・ラヴ/アンドリュー・ゴールド

アンドリュー・ゴールドに関して、本ブログでは以前、英チェリー・レッドが編纂した6CD+DVDという7枚組『ロンリー・ボーイ〜アサイラム・イヤーズ・アンソロジー』ってのを紹介したことがある。

確かに彼の代表作ということになると、1975年から1980年まで、アサイラム・レコードに在籍していたころの『自画像(What’s Wrong With This Picture)』(1976年)とか、『幸福を売る男(All This and Heaven Too)』(1978年)とか、そのあたりを挙げるのがよいのか、と。ぼくも個人的には1975年のデビュー・アルバム『アンドリュー・ゴールド・デビュー(Andrew Gold)』とか大好きで、学生時代、本当によく聞いたものだけれど。

ただ、この人の底力というか、本音というか、そういったものが炸裂した“裏”の傑作アルバムというと、きっと1997年にリリースされた『グリーティングズ・フロム・プラネット・ラヴ』ってことになるんじゃないかと思う。

これ、1967年8月から翌1968年8月にかけて、ザ・フラターナル・オーダー・オヴ・ジ・オールというバンドがカリフォルニアのトパンガ・キャニオンとかメンドシーノとかのスタジオで録音した…という体の1枚なのだけれど。もちろんそれは全部フェイクで。実際には1997年、アンドリュー・ゴールドが作り上げた意欲作だ。

ザ・ベルボトムズのジミー・カプリオとジミー・ハーター、そしてともにWAXを結成したりしていたグラハム・グールドマンがそれぞれ数曲にゲスト参加しているほかはアンドリュー・ゴールドがホーム・スタジオでほとんどを一人多重録音。1960年代後半のビートルズ、ビーチ・ボーイズ、バーズ、ドアーズ、ボブ・ディランなどにインスパイアされた楽曲の雨アラレです。

もちろんぼくは『ペット・サウンズ』〜『SMiLE』期のビーチ・ボーイズっぽさが全開になった「ラヴ・トゥナイト」とか「チューバ・ライ・アンド・ウィルズ・サン」(“Tuba Rye And Will’s Son”、つまり“To Brian Wilson”ってシャレなんだろうね)とかに思いきりぶっとんで。アンドリュー・ゴールドというアーティストを新たな角度から個人的に再評価することになったのでした。

前述した『ロンリー・ボーイ』ボックスを編纂したチェリー・レッド傘下のエソテリック・レコーディングスからのリリース。今回は最新リマスタリングに加え、アルバム・ジャケットもいい方向に一新されて、さらにかっこいいことになりました。前の、地味だったからなー。発売から25年以上経過して、ようやくトータルに完成へと至ったって感じかも。

豪華ゲートフォールド・ジャケット入りの10インチ・カラー・スプラッター・ヴァイナル2枚組(Amazon / Tower)ってのも出てます。断然こっちだな、まじ。

Resent Posts

-Disc Review
-, ,