Disc Review

Music / Benny Sings (Victor Entertainment)

ミュージック/ベニー・シングス

いろんなお店に足を踏み入れたとき、ふと耳に届く店内BGMに、おっ、いい曲かかってるじゃん…とか驚いたりすることもあって。その確率が案外高かったのが、以前ならば西友かな。ある時期まで、InterFMが選曲を手がけていたんだっけ? 突然、けっこうオルタナな曲とか、サンイシャイン・ポップな曲とかがかかったりして、キッチンペーパーやシャンプー抱えながらふと足を止めたりしてました。

あと、今は無くなってしまったけど、中野ブロードウェイの向かいにあったサブウェイ。中野店独自だったとはいえ、店長さんがファンだったのかどうか、一日中、USENのエルヴィス・プレスリー・チャンネルがかかっていて。1960年代の、わりとなんてことないエルヴィスのサントラ曲とか聞きながら食べるセサミでターキーブレスト、オニオン多めが大好きだった。

それから、ドトールも。ここは全店、USENが専用の選曲をしてるのかな? 昔はブレンドをテイクアウトしてウォーキングしながら飲むことが多かったのだけれど、最近は歩いているときもマスクしてるもんで、ながら飲みがちょっとめんどくさく。店内でひと休みしちゃうことも多くなり。ドトールのBGMを楽しむ機会もまた増えた。

で、何の話かと言えば、今日取り上げるこの人、ベニー・シングス。あくまでもぼく個人の、無責任な感想でしかないのだけれど、なんかドトールでよくかかっているイメージがあったりして(笑)。コーヒータイムのおともに最適、みたいな。

ご存じ、オランダのシンガー・ソングライター。2003年にデビューした当初はヒップホップのグルーヴを基調に、それをメロウな方面にちょっとだけ寄せた…みたいなテイストだったけれど、徐々に持ち前のポップでメランコリックなセンスが全面炸裂するようになって。2008年の『ベニー…アット・ホーム』や2011年の『アート』とか、ちょっとユルめのネッド・ドヒニーというか、チープめのマイケル・マクドナルドというか、弱めのケニー・ロギンスというか、ふわふわしたスティーリー・ダンというか、そんな感触がなんとも懐かしく。ディスってないですよ(笑)。そういう持ち味が大好きで、いつも楽しませてもらってきた。

メロウ度とグルーヴ感との配合具合がなんとも日本のポップ・ファン好み。テンション・コードの混ぜ込み具合もちょうどいい塩梅で。日本人アーティストとのコラボが多いのもうなずける。と、そんなベニーさんの新作アルバム。およそ2年半ぶりの7作目。ほんの数日ではありますが、日本先行でリリースされました。

去年から今年にかけてシングルを4曲、先行で公開していたけれど。今回のアルバム・タイトルにもなっている「ミュージック」、マルーン5のP.J.モートンとコラボした「サニー・アフタヌーン」、カナダのシンガー・ソングライターであるマック・デマルコとコラボした「ロールド・アップ」、そしてトム・ミッシュとのコラボ「ノーバディーズ・フォールト」…という、それら4曲すべてを含む待望の1枚だ。

前述、トム・ミッシュ、マック・デマルコらの他、曲によってカイル、“マイルド・ハイ・クラブ”ことアレクサンダー・ブレッティン、エミリー・キング、タイのシンガー・ソングライターであるプム・ヴィプリットがゲスト参加。

今回も、もう全編、ヨット・ロックというか、シティ・ポップというか、メロウで、アーバンで、ほどよくソウルフルで、アダルト・コンテンポラリーな楽曲の雨アラレ。心地よい心地よい。今回もウォーキングのおともに大活躍しそう。で、途中でドトールに寄ると、きっと店内BGMでもかかっていたりする、と。また、ベニー漬けっすね。

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