Disc Review

Little Oblivions / Julien Baker (Matador)

リトル・オブリヴィオンズ/ジュリアン・ベイカー

3カ月に一度の病院の日です。こんなご時世に定期的な通院というのは、なんだか複雑な気分だけれど、やっぱちゃんと検査はしておかないとね。老体だし(笑)。というわけで、病院の待合室でiPadにちまちま文字打ってます。しかし、けっこう混んでいて。改めて、持病のある人って多いんだなと実感。お年寄りからけっこう意味不明の相談を持ちかけられている病院スタッフの方々とか、それでもとっても明るく、やさしく接してくれていて。頭が下がります。これでワクチン接種とか本格的に始まったらさらに大変になるんだろうな。

とか、つらつら書きつつ順番待ちしているという微妙なシチュエーションなので、あまり込み入った紹介記事も書けないっぽい。てことで、ここんとこよく聞いているジュリアン・ベイカーの新作、軽く取り上げておくことにします。今も待合室で聞いてます。すでにあちこちのサイトで紹介されていて大好評。彼女と同郷のハニフ・アブドゥラキブとかも先行シングルのこと絶賛していたっけ。なので、今さらって感じかも…ではありますが。

フィービー・ブリジャーズ、ルーシー・ダカスとともにUSインディ系シンガー・ソングライター・ユニット、ボーイジーニアスを組んでいることでもおなじみ、メンフィス本拠の25歳。ソロとしては4年ぶりのサード・アルバムだ。これまでは主にギターやピアノの弾き語りっぽい音像を基調に、最小限の“ウワモノ”をかぶせるみたいなアプローチで歌声をバックアップしてきていたけれど、今回はわりと本格的にベース、ドラム、さらにはバンジョー、マンドリンなども導入。なにやらテルミンみたいに聞こえるシンセ系の音も。それら、ほほすべての楽器をジュリアンひとりで演奏しているらしい。

そういう意味では、より外向きに変化しているとも言えるような、いや、しかしすべてをひとりでこなしているという意味で、より一層パーソナル度を高めたとも言えるような。実に興味深い在り方の新作だ。アレンジ面での変化とともに、曲調自体もぐっと幅広さを増し、ヴォーカルの質感もさらに力強くなり。一気に成長/成熟した感触が頼もしい。

もちろん歌われているのは、彼女ならではの屈折した愛情やら孤独やら傷みやら喪失感やら信仰やらジェンダーのことやらを巡る赤裸々な内省の告白。そこは変わらないものの、そのパーソナルな物語を他者へと伝える“力”がきっちり身についてきたのかも。

ジャケットに手書きで“There’s no glory in love / Only the gore of our hearts”という文字が。アルバム中盤に収められている「ブラッドショット」という曲の歌詞だ。この“gore”はどういう意味なのかな。愛に栄光なんかない、あるのは私たちの心から流れる血糊だけ…みたいな? 愛と真摯に対峙することは自身の醜さを自ら暴くこと…的な? なんか深い。

触れたら壊れそうな脆さと凜とした強さとが分かちがたく交錯する素晴らしい1枚だ。フィービーとルーシーも一部にゲスト参加してます。

と、ここまでを病院の待合室で書き上げて、ここからはばっちりOKな検査結果とともに帰宅後(笑)の追記。日本盤(Amazon / Tower)には1曲がボーナス追加されていて。なんでもその購入特典としてのオンライン・ヴァーチャル・ライヴが今夜あるんだとか。まじか。知らなかった。3月25日(日本だと26日)にストリーミングのライヴがあるのはオフィシャル・サイトで告知されていたので知ってたけど。ぼく、バンドキャンプで音だけ買っちゃったからなぁ。仕方ない。25日を待つか…。

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