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Disc Review

Blush / Maya Hawke (Mom+Pop Music)

ブラッシュ/マヤ・ホーク

『ストレンジャー・シングス〜未知の世界』は、まじ面白くて。大好き。シーズン1が始まった段階ではまだその存在を知らなかったのだけれど、翻訳/通訳でおなじみ、丸山京子さんに“面白いよー!”と教えてもらって。見て。で、イッパツでハマって。以降はシーズン2、シーズン3と、リリースされると即、全エピソード一気見しちゃう勢い。でもって、存在を教えてくれた恩人に向かって“えー、京子ちゃん、まだ見てないの?”とか言い出す始末(笑)。ほんと、すみません。お調子者なもんで。

シーズン3が配信されたときは、まだアタマの2話くらいしか見ていない段階で大いに盛り上がり、本ブログでも早々にサントラを紹介したりして。やー、盛り上がった。

で、そのシーズン3。キャスト全員、相変わらずとても魅力的ではあったのだけれど。個人的に断トツで光っていたと思うのが、ロビン。シーズン3で初登場した新キャラだ。ショッピング・モールのアイスクリーム屋さんでバイトしてる女の子。ひょんなことから事件というか陰謀阻止の大冒険というか、そういったものに巻き込まれてスティーヴとダスティンとともに大活躍することになる役どころで。なんだかとても魅力的だった。シリーズのマンネリ化を防ぐうえでも大きな役割を果たしていたような…。

そのロビンを演じていたのが、この人、マヤ・ホーク。クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』にもマンソン・ファミリーのひとり、フラワー・チャイルド役で出演していた注目の女優さんだ。お父さんがイーサン・ホーク、お母さんがユマ・サーマン。ご両親の才能のいいとこどりをしちゃったみたいな、なんともうらやましい22歳です。

演劇系の学校に通うのと並行して、かのジュリアード音楽院にも籍を置いていたことがあるそうで。モデル、女優として以外に、音楽面でも才能を発揮。お父さんの友人でもあるジェシー・ハリスの全面サポートを受けながら、ついにファースト・アルバムをリリースしてくれた。それが本作『ブラッシュ』だ。

去年の暮れ、ジェシー・ハリスとともに来日して彼のステージにゲスト参加したりしていたけれど。いよいよ自らアーティストとして本格始動という感じか。ジェシー・ハリスがサポートしているということで、どうしても初期のノラ・ジョーンズのイメージを二重映しにしてしまうかもしれない。

いや、まあ、もちろん、そういう感触も強い。それは事実。去年リリースされたシングル「トゥ・ラヴ・ア・ボーイ c/w ステイ・オープン」もそうだったけれど、きわめてシンプルで、アコースティックで、それゆえ奥深いバッキングのもと、ちょっとアンニュイな歌声で訥々と歌い綴っていく感じは確かに「ドント・ノウ・ホワイ」に近いかも。でも、さすが女優さんというか、若いのに表現力がとてつもなく深くて。儚さ、脆さ、切なさをナチュラルにはらんだ豊かな歌心に驚く。

去年のシングルに引き続き、今回も全曲、作詞がマヤさん、作曲がジェシー・ハリス。歌詞表現も若い女の子ならではの揺れとか逡巡とかを素敵に反映していて、耳を惹きつける。どこにいても感じざるを得ない孤独感のようなものにもしっかり対峙し、というか、むしろ孤独こそを好んで、曖昧さに満ちた現実よりも自身のイメージの世界を信じる今どきの女の子ならではの内省…。中には親に対して複雑なメッセージを放っているらしき曲とかも含まれていて。ちょっとドキドキしたりも。

ちょっと太めのグルーヴをともなったロック調の曲もあって。そこで軽く見え隠れするニュー・ウェイヴっぽいアヴァン感も見逃せない。何度か登場する子供たちのコーラスがもたらす異化効果も面白かった。

楽しみな個性です。音楽家としても。

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© 2020 Kenta Hagiwara