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Disc Review

Coco Reilly / Coco Reilly (Golden Wheel)

ココ・ライリー/ココ・ライリー

薄い幕の向こうからふわっと届いてくるようなウィスパー・ヴォイスと、どこかノスタルジックでドリーミーなバンド・サウンド。ふと聞き逃しそうになる地味目な1枚かもしれないけれど。いったん気になり始めたら、なんだか気になる。忘れられなくなる。そんな不思議な吸引力に、ぼくはすっかりやられました。

近年はロサンゼルスを本拠に活動している女性シンガー・ソングライター、ココ・ライリーのファースト・アルバム。ココさん、もともとは東海岸の人で。小さいころからオリジナル曲を書くなど、音楽に親しみながら育った。10歳のとき、ニューヨークの州立ユース・オーケストラのようなところで主席フルート奏者をつとめたりもしていたらしい。ハイスクール時代にはギターも弾くようになり、バンドを結成してレコード会社と契約。勉強と並行してレコーディングやツアーも行なっていたという。

さらに映像制作にも深く関わるようになって。自ら初監督した短編映画がサンダンス映画祭やボストン・インディペンデント映画祭で賞を獲ったり。最近は先述した通り、ロサンゼルスに居を構えて映画やテレビの音楽制作にいそしんでいるのだとか。

そんなココさん。かなりの完璧主義者だとかで。本ファースト・アルバムの制作に際しても、3回ほど作り直しをしたらしい。レコード会社といろいろもめたり、カリフォルニア、ナッシュヴィル、アイスランド…と、スタジオのロケーションを転々と変えたり、なんと4年の歳月を費やして完成へと至った、と。

長い試行錯誤の果てにようやく出会えた最強のパートナーはジェリー・バーンハート。エリン・レイの2018年作『プッティング・オン・エアーズ』でもいい仕事をしていたけれど、ここでも彼が共同プロデューサーとして同じ方向性の、ちょっとアンビエントで、サイケで、輪郭が曖昧ににじんだような、ロー・ファイ気味の魅力的な音世界を提供している。

バーンハートの他、ドム・ビレット、イアン・ファーガソン、そして先述したエリン・レイなど、ナッシュヴィル系のミュージシャンたちがバックアップ。時にビートルズというか、ジョージ・ハリスンっぽく、時にフィル・スペクターっぽく、時にテリー・メルチャーっぽく、時にグラム・パーソンズっぽく…。レトロではあるけれど、同時に今っぽくもあるサウンドに乗せて、ココさんが自らの内省に深く対峙した歌詞をささやく。

ひとりきりのときはもちろん、愛する誰かと一緒に過ごしているときですらどうしようもない孤独感に心を揺さぶられる、みたいな。“行間”に多くを託した世界観が印象的だ。今のところデジタル・リリースのみ。次はあまり時間をかけず、新作の登場、期待してます。

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