【スロウバック・サーズデイ】ツヨクヨハク/ヨシンバ
今年になってからは、もう誰もがエンドレスで不安だらけの日々を否応なく送り続けていて。ともすれば、そのいやな感触に慣れてしまい、ふと緩みがちになったりもするのだけれど。そんな緩みにつけ込むように、第3波だか4波だか、新型コロナの感染者数が全国で、いや、世界中でぐんぐん上昇。東京でもまた300人超えとか。
なのにお国は、GoToとか、現状を悪化させるとしか思えない愚策を止めることもせず。あげく、外食するときは右手に箸、左手にマスク…とか、専門家のセンセーが真顔で実演してみせたりしてるし。
かと思えば、株価だけは錯乱するかのようにバカ上がり。にもかかわらず、株なんかに何の関わりもない我々シモジモには一向に恩恵のひとつもなく。米国に目を向ければ、現実をまっすぐ受け容れることなく妄言吐きつつ駄々っ子のように権力にしがみつくばかりの見苦しいじいさんのことがえんえんとニュースを賑わし…。
やんなっちゃう。なんだか、いつまでも落ち着かない。仕方ないけど。
なもんで、ふとヨシンバの音楽が聞きたくなったのでした。去年リリースされた『ツヨクヨハク』。昨日も日課のウォーキングしながら、これ、ずっと聞いていた。いろいろ気になる新譜も次々リリースされているのだけれど、今、気分はすっかりヨシンバ・モード。
たぶん、ちょっと前に本ブログでも予告した通り、年末恒例のCRT忘年会として、12月8日、東京・渋谷ロフト・ヘヴンからヨシンバのライヴを無観客・生配信することもあってではあるけれど。まあ、今日はTBT〜スローバック・サーズデイでもあるので、いつものニュー・リリース紹介をいったんお休みして、『ツヨクヨハク』を改めてエントリーしつつ、じんわり味わいましょう。
このアルバムについての詳しいことは、去年書いたエントリーをぜひ参照してください。彼らもデビューして20年以上。とはいえ、『ツヨクヨハク』はなんと13年ぶりの5作目で。アルバム・リリースに関してはとてつもなく長いブランク。再デビューと言ってもいいくらい。
けど、その間のメンバー個々による多彩な活動もすべて含めて、ヨシンバ。歳月の積み重ねのみによって醸される豊かさ、深さが『ツヨクヨハク』には感じられて。なんか素敵だった。
ヨシンバに限らず、長い歳月を生き抜いてきたアーティストというのは、時代時代の空気感のようなものとそのつど折り合いをつけつつ、表層を少しずつ変えながら活動を続けていて。大方の場合、そういう変化、つまり“どう変わったか”みたいな部分にばかり目が向きがちになるわけだけれど。
なんだか、こう、普通に“えんえん非日常”みたいな日々を過ごしていると、そういう“変化”の部分にではなく、彼ら中堅〜ベテラン・アーティストたちの“不変”の部分に惹かれるというか。気になるというか。むしろ、彼らが“どう変わらないでいるのか”、その部分にこそ癒されたくなってくる。
そんな耳で改めて『ツヨクヨハク』に接し直してみると、なんだか今、この2020年、不安ばかりがしんしんと空気中に降り積もる日々を心惑わされずに過ごすために存在してくれているかのような気分になってくる。不思議だ。去年のブログで書いた文章を引用すると——
穏やかで、ナイーヴで、エロい。不変。鉄壁。(中略)ポップ・ミュージックの世界では、確かに出会い頭の刹那的なスピード感に満ちた勢いってやつも重要だけれど、それと同じくらい、長い歳月によってのみ醸し出される熟成感ってやつも大切なんだな、と。『ツヨクヨハク』はそんなことを教えてくれる素敵な1枚です。トシとるのも悪くないね。
そういう意味でも12月8日、東京・渋谷ロフト・ヘヴンから生配信されるCRT忘年会でのヨシンバのライヴが楽しみ。2020年を締めくくるには絶好かも。ゲストに初恋の嵐・隅倉さんと、ヒックスヴィル・中森さん。萩原、祢屋、能地のCRTレギュラー・トリオもMCとして参加してわいわいやります。CRTの出演者としてもおなじみの吉井くんをはじめヨシンバの面々もみんなしぶとい音楽マニアなので、年末らしく、2020年の音楽シーンを振り返るようなトーク企画もできたらなと考えてます。
視聴チケットの発売はこちらへ。また時期が近くなったらインフォメーションさせていただきますね。