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American Standard: New Album Information from James Taylor

JTの新作カヴァー・アルバム『アメリカン・スタンダード』リリース情報に大興奮!

1970年代前半、アメリカでシンガー・ソングライター・ブームが巻き起こったことがあって。きっかけを作ったのは、1970年の夏過ぎ、全米チャートで最高3位のヒットを記録したジェイムス・テイラー、われらがJTのシングル「ファイア・アンド・レイン」だった。

そう考えると、そうか、今年はシンガー・ソングライター50周年でもあるのか…と、思わず遠い目になってしまうのだけれど(笑)。

とにかく、あの曲の大ヒットをきっかけにシーンにはたくさんのシンガー・ソングライターたちが大挙登場。洗いざらしのジーンズにカントリー・シャツを無造作に着こなし、ごく私的な体験や内面の揺らめきを、生ギターつまびきながら歌うようになった。

が、ほどなく彼らは迷走を始めた。私的な告白もすぐに種が尽き、多くが袋小路へと迷いこんだ。内へ内へと向かうエネルギーも涸れ、歌うべきテーマを見失いはじめた。たとえ歌うべき私的な告白があったところで、それを表現するためのソングライターとしての力量、あるいはシンガー/パフォーマーとしての能力に長けていなければもはやインパクトもなかった。

というわけで、72年ごろをピークにシンガー・ソングライターのブームは徐々に収束していった。結局のところ、シンガー・ソングライターという一見素朴かつノン・コマーシャルに思えた文化も、やはりそれが聞き手という他者との関係の中で一定以上の力を持つためには、底辺にボップ・ミュージックならではの完成度というか、密度の濃さが流れていなければならないということだ。

その点、繰り返しになるけれど、JTはすごかった。ポール・サイモン、ジョニ・ミッチェル、ニール・ヤング、キャロル・キング、ジャクソン・ブラウンら、音楽家としてプロフェッショナルな才能を有する一握りのアーティストたちとともに、その圧倒的な表現力と音楽性で生き残った。ギタリストとしても凄腕で。和音の操り方も素晴らしかった。そのあたりのことは本ブログでもしょっちゅう繰り返し書かせてもらってきた。ちょっと検索かけてみたら、JTに関して同じようなこと、ずいぶん書いてます。


Carolina in My Mind / James Taylor (Performs on“The Late Show”)

Before This World / James Taylor (Concord)
Before This World / James Taylor (Concord)

Other Covers / James Taylor (Hear Music)

で、これまた以前書いたことの繰り返しになるのだけれど。JTは自作曲だけでなく、マーヴィン・ゲイやボビー・ウーマックなどのソウル・ヒットをカヴァーしたり、懐かしのフォスター作品を甦らせたり、ジミー・ジョーンズの「ハンディ・マン」とかバディ・ホリーの「エヴリデイ」とかオールディーズを洗練されたアレンジで生まれ変わらせたり、「ペイパー・ムーン」や「ウォーキング・マイ・ベイビー・バック・ホーム」のようなスタンダード曲を取り上げたり…。事あるごとに充実したカヴァー曲も披露してきた。

これがまたよかった。選曲のセンスも最高。アレンジも見事。音楽的な幅の広がりが素晴らしかった。個人的にはJTを通して知った音楽スタイルも数多い。

なもんで、今回飛び込んできたニュース、ジェイムス・テイラーが久々の新作をリリースして、それがなんとポピュラー・スタンダードのカヴァー・アルバムだという最新情報には胸が高鳴った。過去、何度かカヴァー・アルバムを出しているJTだけれど、全編スタンダードものというのは今回が初。彼ならではの洗練されたギター・プレイとかコードのあしらい方とか、そのあたりも堪能できそうで。わくわくする。

デイヴ・オドネルとジョン・ピザレリが共同プロデュース。スティーヴ・ガッド、ラリー・ゴールディングズ、ヴィクター・クラウス、スチュアート・ダンカン、ジェリー・ダグラスらがバックアップ。こういうスタンダード・カヴァー路線というのは、弟のリヴィングストン・テイラーの得意技だったりもするのだけれど、その辺含めて、まあ、テイラー家の家風ってことで(笑)。

2月28日発売予定だとか。待ちきれないです。それまでは予告トレーラー映像と、先行公開された1曲でじっと我慢がまん…。

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