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Disc Review

Live at Carnegie Hall 1969 - EP / Simon & Garfunkel (Sony)

ライヴ・アット・カーネギー・ホール1969/サイモン&ガーファンクル

先日もこのブログでお知らせしましたが。カメちゃん、亀渕昭信さんをゲストにお迎えする今年初のCRTイベント、いよいよ本日です。なんか天気が今いちみたいで残念だけど。東京・高円寺ロフトX(テン)で、ちょうど半世紀前、1970年を振り返りますよ。

なんでも、カメさん、1970年1月から12月まで、ご自身がディスクジョッキーを担当なさっていた『オールナイトニッポン』のプレイリストを発掘してくださったそうで。古いものなので、もう触ると破れそうな状態らしいですが(笑)。それを持ってきて下さるとか。

1970年というと、ぼくは中学生で。洋楽ファンで。ラジオが大好きだった。

今からは想像できないかもしれないけれど、AMラジオは洋楽番組の宝庫。FMもスタートしてはいたけれど、まだ一般的ではなく。なので、AMラジオが最高の友達。いつもラジオを聞いていた。もちろんウォーキング・ステレオとか影も形もない時代だから、イヤホンをラジオに突っ込んで、それをずーっと耳にハメていた。ごはんのときも外さないもんで、親からいつも怒られたっけ(笑)。

なので、カメさんの『オールナイトニッポン』もいつも聞いていて。1970年というのはラジオにハマっていたピークでもあり。当時のプレイリストを見て、もしかしたらそれを現在のカメさんの名調子で再現してもらえるかも…と思っただけで、ちょっと胸が高鳴ります。

もう今夜のことではありますが、もしいらっしゃることが可能な方は、ぜひ。一緒にわくわくしましょう。で、そんな1970年にリリースされた最大のヒット曲というと。ノージも昨夜、ツイッターでつぶやいていたけれど、50年前の昨日、1970年1月26日に出たのがサイモン&ガーファンクルにとって最後のスタジオ・アルバム『明日に架ける橋(Bridge Over Troubled Water)』で。

アルバムの1週間ほど前に先行リリースされたタイトル・チューンも大ヒット。まあ、当時の日本では海外ヒットの国内盤リリースが数カ月遅れることなんか当たり前だったので、実際この曲のシングルが出たのは3月くらいになっていたと思う。ちょうど同じころ、ビートルズのシングル「レット・イット・ビー」もリリースされて。カメさんの『ポップス・ベストテン』とか、八木誠さんの『TBSトップ40』とか、日本のラジオの洋楽ヒットチャート番組ではこの2曲が激しい首位争いを展開したものです。懐かしい。

アメリカでは「明日に架ける橋」が2月くらいに1位になって、そこから5〜6週間1位を続けて、4月になって「レット・イット・ビー」に取って代わられた、みたいな。そんな感じだった覚えがある。1960年代を代表する二大アーティストが解散間際、最後にリリースした代表曲どうしのつばぜり合い。すごい年だったなぁ。

まあ、そんな『明日に架ける橋』。アルバムのリリースから50年ということを祝って、50周年記念の企画がさっそく披露された。今年たぶん相次ぐはずの50周年記念リリースの幕開けという感じ? 

「ボクサー(The Boxer)」、「フランク・ロイド・ライトに捧げる歌(So Long, Frank Lloyd Wright)」、「ソング・フォー・ジ・アスキング」、そして「明日に架ける橋」。アルバム『明日に架ける橋』の収録曲4曲の未発表ライヴ・ヴァージョンを収めたミニ・アルバム。デジタル・オンリーでのリリースだ。

サイモン&ガーファンクルは新作アルバムのレコーディングを終えたばかりの時期、1969年11月27日と28日、ニューヨークのカーネギー・ホールで二晩にわたるソールド・アウト・コンサートを行なっていて。以前、2008年に発掘リリースされた『ライヴ1969』というアルバムにも、そのコンサートで収録された「動物園にて(At the Zoo)」と「スカボロー・フェア/詠唱(Scarborough Fair/Canticle」と、そして「明日に架ける橋」が収められていたのだけれど。

そのときの「明日に架ける橋」は11月28日のヴァージョン。今回は前日、11月27日の未発表ヴァージョンが入っている。「ボクサー」「ソング・フォー・ジ・アスキング」も27日録音。「フランク・ロイド・ライト…」のみ11月28日録音。

で、これ、何が素晴らしいかと言うと、まだアルバムが世に出ていない段階なので。先行シングルとして既発だった「ボクサー」以外、どの曲も観客にとっては聞いたことのないまっさらの新曲。特に「明日に架ける橋」とか、“これも新曲です…”というMCとともに歌い出されたときは、まあ、知らない曲だし、当然、観客もたいした反応を返しはしないのだけれど。

ポール・サイモンが紡いだ旋律と歌詞、そしてそれを綴るアート・ガーファンクルの歌声が少しずつ少しずつ会場全体に行き渡っていって、観客の心を動かして、やがて歌い終えた瞬間、嵐のようなアプローズが巻き起こる。名曲が誕生した瞬間を今まさに体験しているんだ、という感動がカーネギー・ホールを包み込んでいる様子が今回の音源からも感じられて。胸が震える。

時を超える感動というのは、あるね、本当に。

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© 2020 Kenta Hagiwara