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Disc Review

James Taylor's Greatest Hits (2019 Remaster) / James Taylor (Rhino/Warner Bros.)

グレイテスト・ヒッツ(2019年リマスター)/ジェイムス・テイラー

音楽ファンならば、誰にでも自分なりのオーディオ・リファレンスというか、この歌声なり、楽器の響きなりがいい音で聞こえるかどうか、みたいな。そういう判断を下すためのレコードとかがあると思うのだけれど。

ぼくにとってはジェイムス・テイラーのワーナー・ブラザーズ・レコード在籍時代、初期3枚のアルバムかなぁ。あのころのJTのアコースティック・ギター。これがいい音で鳴ってくれるかどうかが大きい。

先日出たJTの新作『アメリカン・スタンダード』も素直ないい音してて。新しいヘッドフォンを買うとき、この盤で聞き比べしてみたりもしたけど。でも、やっぱりワーナー時代だな。『スウィート・ベイビー・ジェイムス』『マッド・スライド・スリム』『ワン・マン・ドッグ』。けっしてハイファイな仕上がりというわけじゃないものの、あの3枚に詰め込まれた音楽そのものがいい音で鳴る環境こそ、ぼくにとって最高の音場だったりするのだ。

なので、去年、このブログでも紹介したワーナー時代の全オリジナル・アルバムを集めた6枚組ボックス『ザ・ワーナー・ブラザーズ・アルバムズ』とか、とってもうれしいリリースだった。オリジナル発売当時のプロデューサーだったピーター・アッシャーが自ら監修した2019年最新リマスターもそこそこ良好。個人的には2010〜12年のオーディオ・フィディリティによるリマスターのほうが好きだけれど、ピーター・アッシャー・リマスターも悪くなくて。去年の夏はよくこのボックスで初期JT再訪の旅に出たものです。

ただ、あのときのブログには特に書かなかったけれど、個人的にちょっとだけ不満があって。全オリジナル・アルバムの収録曲を網羅、と。まあ、それは確かにそうなのだけれど。当時、ワーナーからは実はもう1枚アナログLPが出ていた。1976年の『グレイテスト・ヒッツ(James Taylor's Greatest Hits)』。米コロムビア・レコードへと移籍するにあたってワーナーが編んだベスト盤だ。

が、ベスト盤と言っても油断はならない。6枚のオリジナル・アルバムには入っていない音源を3曲楽しめる。ワーナーに移籍する前、ビートルズのアップル・レコードからリリースしたデビュー・アルバムに収められていた「サムシング・イン・ザ・ウェイ・シー・ムーヴス」と「思い出のキャロライナ(Carolina in My Mind)」の再録スタジオ・ヴァージョンと、1975年8月にロサンゼルスのユニヴァーサル・アンフィシアターで収録された「スティームローラー」のライヴ・ヴァージョン。

アップル時代の2曲は今もJTはよくライヴで演奏していて。その際はアップル・ヴァージョンではなく、このワーナー再録ヴァージョンが基本。そういう意味でもこのベスト盤はJTファンにとってマストなのだ。ラス・カンケル+リー・スクラー+ダニー・コーチマー+クラレンス・マクドナルドをバックに従えた「スティームローラー」のライヴもかっこいいし。だから、このベスト盤も前述『ザ・ワーナー・ブラザーズ・アルバム』に加えて7枚組で出してほしかったな…と密かに思っていたのだけれど。

それが出ました。単体で。前述6枚組同様、ピーター・アッシャー監修による2019年最新リマスター。CD、LP、ハイレゾでのリリースだ。ストリーミングは微妙で。Apple Musicは新リマスター音源で配信しているけど、Spotifyは今のところ古い音源のまま。しかも、古いストリーミングだと「スティームローラー」がスタジオ・ヴァージョンになっていたりして。なので、これはフィジカルかハイレゾで入手したほうがよいかも。

ただ、バカなファンの要望はとどまるところを知らないから。まだ不満があって。JTがワーナーに残した音源としては、これら以外に「カントリー・ロード」のシングル・ヴァージョンってやつもある。アルバム・ヴァージョンの「カントリー・ロード」でJTはギターをドロップDチューニングにして演奏しているのだけれど、シングル・ヴァージョンではレギュラー・チューニングのまま。アレンジもちょっと違うし。これとか、あと同じワーナー系のエレクトラから出ていた当時の奥さま、カーリー・サイモンとデュエットした1975年の「愛のモッキンバード」とか1978年の「愛をいつまでも」みたいなカヴァー・シングルとか、どうせだったらその辺も一気にまとめて集大成してもらえていたら…。

あ、いや、いいです(笑)。その辺ももちろんそれぞれ別々に揃えているし。バカなファンの言うこと聞いていたらきりがないもんね。すんません。

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