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The Rolling Thunder Revue: The 1975 Live Recordings (14CD) / Bob Dylan (Columbia)

投稿日:2019.05.01 更新日:

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ローリング・サンダー・レヴュー:1975年の記録/ボブ・ディラン

元号が変わったところで、ビッグ・ニュース!

いや、まあ、すでにいくつかのサイトでは平成のうちから掲載ずみのリリース予告ではありますが、ようやく本家「bobdylan.com」からもオフィシャルにメールが届いたので、令和一発目の大騒ぎとして本ホームページでも取り上げておきましょう。本日も連休仕様ってことで、告知メイン、ディスク・レビュー軽めにお茶碗半分…って感じです。

今回出るのは、ボブ・ディランが1975年から76年にかけて行なった伝説的なコンサート・キャラヴァン「ローリング・サンダー・レヴュー」の第一期ツアーの模様を記録したCD14枚組ボックスセット。2002年、ご存じブートレッグ・シリーズの第5集として『ザ・ローリング・サンダー・レヴュー』というCD2枚組ライヴ盤が蔵出しリリースされたことがあって。海のこちら側で、その時期のツアーを生体験することができなかったぼくたち日本のディラン・ファンは初めてローリング・サンダー・レヴューの何たるかを思い知らされることになったのだけれど。

そのとき以上の臨場感とともに、このプロジェクトの底力というか、そこにディランが託した真意というか、そういったものをぼくたちに追体験させ、思い知らせてくれる強力なボックスセットが今回の『ローリング・サンダー・レヴュー:1975年の記録 (The Rolling Thunder Revue: The 1975 Live Recordings)』だ。以前から発掘リリースが噂されていた企画ではあったけれど、このほどマーティン・スコセッシ監督による新たなコンサート・ドキュメンタリー映画『ローリング・サンダー・レヴュー〜ア・ボブ・ディラン・ストーリー・バイ・マーティン・スコセッシ』がNetflixで6月12日から公開されることになったのに合わせて、ついにお目見えすることとなった。

ボックスのリリースはまだ先で。6月5日。けど、本当に光栄なことにライナーノーツを担当させていただいたもんで。一足先に全貌を聞かせてもらった。すごかった。ちびった。70年代当時、ディラン自身が監督を手がけた問題作映画『レナルド・アンド・クララ』、ブートレッグ・シリーズ第5集、そして『…ボブ・ディラン・ストーリー・バイ・マーティン・スコセッシ』などを構成するライヴ音源のもととなった4個所5回のコンサートの模様と、それに先立つリハーサル音源、さらには様々な機会に収録されたレアなパフォーマンスなどが詰め込まれた、まさにトレジャー・ボックス、宝箱だ。

全148トラック中100トラック以上が初出。ブートレッグとかでも聞いたことがなかったディランの自作曲も数曲あったりして。やばい。

ローリング・サンダー・レヴューというのは、建国200年のお祭り騒ぎが全米を覆い尽くす中、ピューリタンの開拓精神のルーツとも言うべきマサチューセッツ州プリマスの地を皮切りに、古き良き旅芸人たちの美学を全うするかのような形で行なわれたツアーだった。ジャック・エリオット、ジョーン・バエズ、ロジャー・マッギン、ボブ・ニューワース、キンキー・フリードマン、ミック・ロンソン、Tボーン・バーネットら大勢のミュージシャンが参加している。

全員が懐かしいサーカスのようなムードが充満するちょっと風変わりな会場のステージ上に居並び、まずひとりひとり、自分の持ち歌を披露。誰もが顔に思い思いのペインティングをほどこし、ヴォードヴィル調あるいはジプシー調の衣装に身を包み、帽子や髪に花をさし、とてもディスコ・ミュージックやアダルト・コンテンポラリー・サウンドの全盛時代とは思えない、土臭く生々しい音楽を展開した。と、そんな流れを受けて、他の人のリード・ヴォーカルのバックで黙々と伴奏を続けていたディランが、特に鳴り物入りにではなく、さりげなくセンターに登場する。ディランもまたこのキャラヴァンの一員に過ぎないことを強調するために考え出された演出だったらしい。

全編4時間に及ぶこともあった長尺コンサートの中、核になっていたのはやはりこのディラン作品が演奏される1~2時間のセット。その雰囲気を生々しく伝えてくれるのが本ボックスセットということになる。当時最新のトレンドを象徴するミック・ロンソンのグラム・ロック・ギターに、伝統的なジプシー・ヴァイオリンやペダル・スティール・ギターが絡むサウンドが実に有機的に機能。ディランたちの顔面ペインティングも、ミンストレル・ショーとグラム・ロックとの時を超えた連環を感じさせる。ローリング・サンダー・レヴューのステージ上ではそんなふうに様々な形で新旧文化が躍動的に交錯していた。

というわけで、とにかく要チェックですよ。「コーヒーもう一杯」のリハーサル音源もYouTubeで公開されたし。リトグラフとかラゲージ・タグとか付いた限定セットもディランのサイトで売ってるんだよなぁ。残りがぐんぐん減っていくなぁ。ポチっちゃおうかなぁ。ライナー書くために、もちろん音は全部すでに聞くことができているんだけど、ブツはブツ。フィジカル・パッケージの魅力は別腹だもんねぇ。ああ、元号が変わってもレコード関連の物欲は変わらない。悩ましい…。

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Bob Dylan - One More Cup of Coffee (Valley Below) (Seacrest Motel Rehearsal)

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