Disc Review

The Last Word / The O'Jays (S-Curve)

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ザ・ラスト・ワード/ジ・オージェイズ

ベテランR&Bヴォーカル・グループ、オージェイズが、「フェアウェル・ツアーを行なって2020年に引退する」とメディアを通じて宣言したのは去年の初め。徐々に最後のときが近づいてきた。そんな寂しさを否応なく募らせる、たぶん“最後の”新作アルバムが届けられた。アルバム・タイトルからして泣けてくる。

仕方ないか。オリジナル・メンバーのエディ・リヴァートもウォルター・ウィリアムスも、すでに70代後半。エディは10年ほど前、息子のジェラルドとショーンに相次いで先立たれるという不幸に見舞われたし、ウォルターは長年にわたって難病の多発性硬化症と闘い続けているし。70年代にフィラデルフィア・インターナショナルと契約して以降の活動がおなじみだが、結成は1958年にオハイオで。すでにキャリア60年を超えた。にもかかわらず、ちょっと前には新作映画のサウンドトラックに新曲2曲を提供するなど、現役感ばりばりの活動を続けてくれていたわけで。

引退予告は思いきり寂しいけれど、それ以上に感謝の気持ちでいっぱい。ファン誰しもがそんな思いだろう。

といった状況下でリリースされた本作。前述したようにサントラへの提供曲とかはあったものの、フル・アルバムとしては2010年のクリスマス・アルバム以来。オリジナル・スタジオ作としては2004年の『イマジネイション』以来だから、15年ぶりということになる。Sカーヴ・レコードからのリリース。同レーベルの創設者でもあるスティーヴ・グリーンバーグ、ベティ・ライト、マイク・マンジーニという、ジョス・ストーンの初期ブレーンを核に、超売れっ子ソングライター/アレンジャー/プロデューサーのサム・ホランダーを加えた顔ぶれで共同プロデュースしている。

幕開けは、やはりSカーヴに所属するホワイト・ソウル系シンガー・ソングライター、マイケル・ブルーム作の「アイ・ガット・ユー」のカヴァーだ。ブルーム自身、去年出したEPで歌っていた曲で。もともとはジェイソン・ムラーズとかダニエル・パウターっぽいポップ・ソウル。ぼくもけっこう愛聴していたものだ。それをオージェイズは往年のフィリー感覚で見事にアレンジ。70年代っぽい古き佳きムードがいきなり涙腺を刺激する。

一方、アルバムのラストを飾るのは、1967年、オージェイズにとって全米R&Bチャートにおける初のトップ10ヒットとなった必殺バラード「アイル・ビー・スウィーター・トゥモロウ」の再演ヴァージョン。この歌を最初に歌った若いころは、まだ何もわかっちゃいなかった…という渋いナレーションに続いて、ピアノ一本で絶品コーラスを聞かせる。新旧、古今、うまい具合に取り込んだ演出がにくい。

その2曲の間に、ブルーノ・マーズ&フィリップ・ロウレンスというスミージングトンズ組がパトリック・モナハンと共作した「エンジョイ・ユアセルフ」とか、ベティ・ライトとアンジェロ・モリスがオージェイズらしい強烈な社会的メッセージを込めて書き下ろした「アバヴ・ザ・ロウ」とか「プレッシャー」とか、超売れっ子サム・ホランダー作のポップな「68サマー・ナイツ」とか「スタート・ストッピン」とか、ジミー&ヴェラの「ドゥ・ユー・リアリー・ノウ・ハウ・アイ・フィール」のカヴァーとか、なかなかの名曲/名演が挟まっている。

さすがの1枚。珠玉のソウル、たっぷり浴びます。

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