Disc Review

Introducing Jackie Evans / Jackie Evans & Vulfmon (Vulf Records)

イントロデューシング・ジャッキー・エヴァンス/ジャッキー・エヴァンス&ヴルフモン

この人のこと、知らなかったな。2024年ぐらいから活躍しているみたいで、日本でもFMとかでフィーチャーされたりしてきたみたいなんだけど。

つい先日、知りました(笑)。素敵でした。ニューヨークを拠点とするシンガー・ソングライター、ジャッキー・エヴァンス。ヴルフペックのジャック・ストラットン/ヴルフモンが見出した、というか広く世に紹介しようとつとめている才能らしく。

なんでもストラットンさんがある日、ビリー・ジョエルのドキュメンタリーを見ながら、「優れたピアニストであり優れた歌手であり優れたソングライターでもある、ビリー・ジョエルのような“トリプル・スレット”的なアーティストが次に現れるのはいつなんだろう?」と思っていたところ、友人のサム・ベイリーから絶好のタイミングで送られてきたのがジャッキー・エヴァンスが「スリープ・フォー・デイズ」って曲を歌ってるインスタグラムのリンクだったそうで。

それ見て、「いるじゃん!」と(笑)。これはただ者じゃないと感じて、ヴルフペック仲間のベーシスト、ジョー・ダートに声をかけ、フォクシジェンのジョナサン・ラドにエンジニアとして来てもらって、スタジオで彼女とのセッションを行った、という動画に今月のアタマくらいに出くわして。そこでぼくは遅ればせながら、初めてジャッキー・エヴァンスの存在を知ったのでありました。

その動画に記録されていた6曲全部、とってもよかったので、Apple Musicで音源を振り返ってみたら、2024年に「グロウイング・オールド」ってシングルが出ていて。そのあと前述した「スリープ・フォー・デイズ」のシングルを挟んで、今年の6月に『モースト・オヴ・ザ・タイム』ってアルバムが出て。で、今月に入って、ヴルフモンとの共演によるこの6曲を記録した本EP『イントロデューシング・ジャッキー・エヴァンス』が出た、と。ものすごくざっくり言うと、そういう流れみたいです。

1970年代型シンガー・ソングライターの現代的な後継者、といえば、まあ、そういう感じなのかなとも思うけれど。ノスタルジックというよりも、エヴァーグリーンな感じがするところがこの人の魅力かも。現代のニューヨークで生きる女性の視点から、古典的なソングライティングの作法を更新している感じ。

「スリープ・フォー・デイズ」って曲がやっぱり今のところいちばんの代表曲かな。故郷に帰ると安心するせいか何日も眠ってしまう、かつてブランコがあった庭には穴だけが残っている、昔の知り合いたちとの関係も変わってしまった…みたいなことが綴られていて。郷愁と安堵、そして時間の経過によって失われていくものへの複雑な感情というか。「モースト・オヴ・ザ・タイムでは神との対話から母親との関係、恋人への思いへと視点が移っていく、そのさりげない描写にキャロル・キングっぽい肌触りが重なるというか。

他にもいい曲たくさん。フィジカルは全然ないみたいだけど、ストリーミングをあわてて振り返りながら、追いつこうといろいろ聞いてるところです。楽しい。

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