Disc Review

Sinister Grift / Panda Bear (Domino)

シニスター・グリフト/パンダ・ベア

エレクトロニカ系とか、テクノ系とか、エクスペリメンタル系とか、そっち方面には思いきり“情報弱者”なもんで。興味もかなり薄いわけですが。でも、もちろん中には気になる存在がちょいちょいいて。

ノア・レノックスもそのひとり。

この人はほんと気になります。1967〜9年ごろのビーチ・ボーイズの影響が色濃い、と。もうそれだけで彼がパンダ・ベア名義でリリースするアルバムからも、アニマル・コレクティヴの一員としてリリースするアルバムからも目が離せないわけですが。

パンダ・ベア名義の新作。出ました。今回も1960年代後半のビーチ・ボーイズ/ブライアン・ウィルソンにも通じるエクスペリメンタル・チェンバー・ミュージックっぽいムードが全編に漂って。さらに細野晴臣からの影響とかも随所に聞き取れたりして。楽しい。

しかも、今回はいつになくアナログっぽいというか。生楽器っぽいというか。かつて『パーソン・ピッチ』を初めて聞いたときに感じた、アシッドでサイケで実験的で、でも不思議とポップなデイドリーム感覚はそのまま、あえて、よりオールド・スクールな音像の下、ノア・レノックスらしい美メロを届けてくれている感じ。『スマイル』や『スマイリー・スマイル』の世界観から『フレンズ』や『20/20』へ…みたいな?

リスボンの自宅スタジオでアニマル・コレクティヴ仲間、ジョシュ“ディーケン”ディブとの共同プロデュースでレコーディング。基本、ノアさんがひとりでいろいろ楽器を演奏していて。曲によってシンディー・リーことパトリック・フレーゲル、スピリット・オブ・ザ・ビーハイヴのリヴカ・ラヴェーデらも参加。ウォルシュ・カンケルのラップ・スティールもいい効果。さらに、アニマル・コレクティヴの他のふたり、エイヴィ・テア、ジオロジストもちょこっと名前を連ねていて、なんだかうれしい。

ベッドルームっぽさとバンドっぽさとがいい感じに交錯する佳盤です。

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