Disc Review

The Path of a Tear / Jo Harrop (Lateralize Records)

ザ・パス・オヴ・ア・ティアー/ジョー・ハロップ

英国ダーラム生まれのジャズ・シンガー、ジョー・ハロップ。

ニール・ダイアモンド、ロッド・スチュワート、グロリア・ゲイナーらのバック・シンガーとして活動した後、一本立ち。2020年にロンドンを拠点とするジャズ・レーベル、ラテラリーズ・レコードと契約して、以降着実なペースでストレートなジャズ・ヴォーカル・アルバムを数作リリースしてきたのだけれど。

4作目にあたる本作はちょっと趣向を変えて。プロデューサーにラリー・クラインを迎え、ロサンゼルスのヴィレッジ・スタジオでレコーディング。ということで、ジャズにソウルやアメリカーナの味を絶妙のバランスで交えた1枚を届けてくれた。

ラリー・クラインはベースもプレイ。その他、ダイアナ・クラールやマデリン・ペルーのサポートでもおなじみのアンソニー・ウィルソン(ギター)、ウィリー・ネルソンからクイーンズ・オヴ・ザ・ストーン・エイジ、ブライアン・セッツァーまで幅広く関わっているヴィクター・インドリッツォ(ドラム)、レナード・コーエンやB.B.キング、ジェイムス・テイラー、エルトン・ジョンなど、多くをバックアップしてきたジム・コックス(ピアノ、オルガン)らが参加している。

レナード・コーエンの「トラヴェリング・ライト」、スティーヴ・アールの「グッドバイ」、エルトン・ジョン&レオン・ラッセルの「イフ・イット・ワズント・フォー・バッド」の3曲がカヴァー。その静かで真摯なアプローチもとてもいいのだけれど、残り、ジョーさんが作家として絡んだオリジナル8曲がまたよくて。

エイミー・ワインハウスやガブリエル、パロマ・フェイスらに曲提供しているイアン・バーターや、2021年の『ザ・ハート・ウォンツ』でも「エヴリシングズ・チェンジング」って名曲を共作していたハンナ・Vをはじめ、すべて誰かとの共作で、もちろん、全曲大傑作! とか、そういうわけでもないのだけれど、随所随所、ツボにうまいことハマってくれて。ぼくのような世代の洋楽ファンが1970年代後半あたりに愛聴していた女性シンガー・ソングライターたちのアルバムを今、再訪しているみたいな。そんな気分にさせてくれる1枚ではあります。ラリー・クラインの手腕かな。

こっちの路線で今後も深めていってもらいたいです。フィジカル、今のところどこのWEBショップもお取り寄せみたいになっていて。てことは、バンドキャンプがいちばん確実かな…。

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