Disc Review

Changing Horses / Ben Kweller (ATO)

チェンジング・ホーシズ/ベン・クウェラー

地方に行ったり、番組の収録が続いたり。ばたばた慌ただしくて。なかなかたっぷりと音楽を楽しむ時間がとれず淋しい今日このごろ。移動時間に聞こうとか思っても、すぐ寝ちゃうんだよなぁ。トシだなぁ。

そんな中で聞いた限られた新譜の中から、今回は元ラディッシュ、ポスト・グランジ世代のポップなシンガー・ソングライターとして日本でもそれなりに注目されているベン・クウェラーの新作です。4枚目ってことでいいのかな。国内盤が先行でリリースされたようだけど、輸入盤が出回り始めたのでようやく入手しました。

今回はテキサス生まれのベンが、自らのカントリー・ルーツを全開にした仕上がり。こういうカントリー寄りのシンガー・ソングライター・サウンドは70年代にはよくあった。なので、米ロックの古株リスナーの方々には懐かしく楽しめるかも。ドブロとペダル・スティールの雨アラレ。

でも、楽曲的にはこれまでのベン・クウェラー節と大きく変わってはいない。むしろ、これまでのポップなサウンド・メイキングの中では気づかれにくかったベンの持ち味が露わになった1枚というとらえ方のほうが楽しそうだ。曲によっては、ビートルズ時代のポール・マッカートニー経由のカントリー感覚みたいなものも聞き取れて。ねじれ具合が面白い。

ただ歌詞のほうに、グレイハウンドの停留所とか、故郷へと帰るハイウェイとか、広がる星空とか、かなり意図的にカントリー寄りの表現が採り入れられているのが新味か。そうした真っ向カントリーっぽい表現をロック世代ならではの感覚とちょっと弱々しい歌声で歌うことで不思議な浮遊感を演出しているあたり、やはりグラム・パーソンズやジーン・クラークあたりとの相似性を感じさせます。

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