Disc Review

Soul Provider / Elizabeth King (Bible & Tire Recording Co.)

ソウル・プロヴァイダー/エリザベス・キング

1960年代から教会の礼拝はもちろん、毎週ゴスペル・ラジオ局で歌い続けてきたというエリザベス・キング。メンフィスを拠点に活動を続けるゴスペル/宗教歌の大ベテラン・シンガーだ。現在、80歳代。

初シングル「テスティファイ」を地元のデザイナー・レーベルからリリースしたのが1969年。その後、他のメンバーは全員男性というグループ、ゴスペル・ソウルズのフロントを張ることになり、1972年にゴスペル系レコード・レーベル、Dヴァイン・スピリチュアルズと契約して、牧師でありDJでもあるファン・D・シップのプロデュースの下、シングル5枚をリリース。アルバムも1枚レコーディングしたものの、そちらは財政的な理由から残念ながらお蔵入り。以降、エリザベスさんはレコーディングとツアーから身を引き、家庭を守りながら教会とゴスペル・ラジオだけで歌う生活に戻っていたらしい。

そんな彼女にファン・D・シップ牧師が改めてラヴ・コールを送ったのが2019年。今度はバイブル&タイヤ・レコーディング・カンパニーを設立したブルース・ワトソンを巻き込んで、すでに70歳代後半になっていたエリザベスさんと新たにレコーディング契約を交わした。こうして、まずはゴスペル・ソウルズ時代の5枚のシングルAB面10曲を掘り返した『ザ・Dヴァイン・スピリチュアルズ・レコーディングズ』をリリースして。

その流れでついに新作も制作。2021年に復活第一弾アルバム『リヴィング・イン・ザ・ラスト・デイズ』、翌2022年に『アイ・ガット・ア・ラヴ』をそれぞれリリースし、活発なアーティスト活動を再開した、と。

そういう流れを受けてこのほどリリースされたのが復帰後3作目にあたる本盤『ソウル・プロヴァイダー』だ。基本的には前作同様の布陣で、ブルース・ワトソンとチャーリー・セクストンのお兄ちゃん、ウィル・セクストンが共同プロデュース。ウィルさん率いる“ザ・セイクリッド・ソウル・サウンド・セクション”がベーシックなバックアップをしている。

加えて、前作で1曲だけ、アルバム・タイトル・チューンのプロデュースとソングライティングを手がけていたスクィーレル・ナット・ジッパーズのジムボ・マサスが引き続き今回もアルバム・タイトル・チューンを提供/演奏/プロデュース。やはりバイブル&タイヤからアルバムもリリースしているクリスとコートニーのバーンズ兄弟がコーラスで参加。オルガンの名手、アル・ギャンブルも随所で渋くファンキーなプレイを展開している。

前2作よりもぐっとサザン・ソウル寄りの仕上がりで。ゴスペル風味溢れる絶品ソウル・アルバムという感じ。ルーズなゴスペル・ブルースあり、ワウワウ・ギターとホーン・セクションがうなるサザン・ファンクあり、メロウなミディアム・バラードあり。ゴスペル・ソウルズ時代の「ストレッチ・アウト」をヘヴィにリアレンジした再演も。

驚いたのはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「ジーザス」をカヴァーしていることかな。ホンモノのスピリチュアルを聞かせてやるわよ的な、ありがちなマウントはいっさい取らず、オリジナル・ヴァージョンの感触を素直に受け継いで淡々と歌い綴るエリザベスさんの歌声が憎い。度量がでかい。

まじ、今の時代、80歳代とかあなどれないな。

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