Disc Review

The Adventure of SUGOROKUTEI / SUGOROKUTEI (self-released)

双六亭漂流記/双六亭

大滝さんの『EACH TIME』40周年記念エディション、間もなく出ますねー。てことで、明日は発売にちょっとだけ先駆けて(というか、もしかして明日にはフラゲできるのかな?)CRT『EACH TIME』まつりです。セロファン、タマコウォルズを経て、現在は双六亭の一員として活躍中のニシイケタカシくんをゲストに迎え、いい音で最新ミックス/最新マスタリングの『EACH TIME』を堪能する予定。楽しみだなー。

おかげさまで1階席、2階席追加席ともにご予約で満席。当日券の有無は未定です。キャンセルがあるかどうかで…。なもんで、もしご予約をキャンセルされる場合は店舗までお電話でご一報いただけると助かります。狭い空間ですので、ひとりでも多くの方にご来場いただけるようご協力よろしくお願いいたします。

ニシイケくんと初めて会ったのは、けっこう昔のこと。CRTで“ポール・マッカートニー&ウイングス”ナイトをやったときにゲストに招いたのが最初だったと思う。ベスト・アルバム『ウィングスパン』が出たときだったはずだから、2001年か。もう20年以上も前だ。ニシイケくんはまだ西池くんだった(笑)。

イベント前、軽く顔合わせミーティングをした際、彼と好きなコード進行の話になって。B♭maj7って聞くと「マイ・ラヴ」思い出すんですよねー…とか、そんな言葉にお互い大きくうなずき合ったっけ。懐かしい。あ、この人とは楽しくお話しできそうだな、と。一瞬にして確信したわけですが。

やがて彼がレココレの祢屋編集長と幼なじみの同級生だったと知り、以降何度もCRTイベントにゲストとして来ていただいたり、演奏していただいたり…。ものすごくお世話になってきたわけですが。

ニシイケくんを迎えての『EACH TIME』40周年まつり。今回も楽しみでなりません。

そんな流れで、今朝紹介するニュー・リリースはニシイケくんが在籍している3人組バンド、双六亭のセカンド・アルバムです。2017年にファースト『双六亭』が出て、2019年にミニ・アルバム『はなこちゃん短篇集』が出て、2022年にEP「ロンリーマンお兄さん c/w 手紙(仮)」が出て。で、先月、ついにそのEPの2曲も含むセカンド・フル・アルバムにあたる本作『双六亭漂流記』が出た、と。

実はこのアルバム、まだ双六亭のライヴ会場でしか買えないみたいで。ストリーミングもまだ。ぼくも先日ようやく盤をゲットできて、わくわく聞いてみたら。

かっこよかったです。ごきげん。双六亭はニシイケタカシ(ヴォーカル、ギター)、中原由貴(ドラム、ヴォーカル)、時光真一郎(ベース、ヴォーカル)というスリー・ピース・バンドなのだけれど。棚谷祐一、那須敬、石井啓介、山崎心、鳥羽修ら頼もしい音楽仲間たちの的確なサポートを得て、ライヴでの3人だけの演奏とはひと味違う、ぐっと緻密に構築された音世界を届けてくれました。

ブルージーでアーシーな感触と、テンションまみれの洗練されたテイストとがごきげんな塩梅に交錯/共存していて。コーラスワークもすっごくいい。ハモりのパターンも、音の積み方も、アイディア豊か。柔軟。歌詞的にも、やさぐれ具合、おふざけ具合がちょうどよくて。でも、ふと気づくと、やけに切ない心象描写とか、とてつもなく深遠な人生の真理みたいなことへの言及とか、そういうことを飄々と、軽々とこなしていたりもして。なんか理想的。

アレックス・チルトンとトッド・ラングレンがオールマン・ブラザーズ・バンドを引き連れてアーデント・スタジオかなんかに入って、ラヴィン・スプーンフルをコーラスに呼んで、ちょっぴりサイケでガレージでソウルフルなサンシャイン・ポップやってみました、みたいな? ものすごく身勝手かつ好意的に解釈させてもらうと(笑)そういう感じ。

オープニングを飾る「フェスティバ」を筆頭に、ちょいシニカルな「ソンデソン」、アナログ・シンセの響きが泣ける「さてもさても」、前出「ロンリーマンお兄さん」、いなせな「花笠男」など妙にクセになる佳曲が勢揃い。「ロンリーマン…」のカップリング曲だった「手紙(仮)」もやっぱり泣けるし。今のところネット上でアルバム全体を試聴する術がないのが残念。近日中にオンライン販売、サブスク開始予定だとか。とりあえずはライヴに足を運ぶしかないかな。

その辺のライヴ情報とかCDに関する問い合わせは、双六亭のウェブサイト(https://igosugoroku.com/)まで。

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