Disc Review

As Night Fades / Stephie James (self-released)

アズ・ナイト・フェイズ/ステフィー・ジェイムズ

バンドキャンプをよく覗いている方ならばご存じの通り、バンドキャンプのアルバム紹介ページには、それがどういう傾向の作品なのかリスナーに知らせるためにジャンルとか本拠地とかの情報がタグ付けられているのだけれど。

今朝紹介するこのアルバムのタグがなかなか欲張りで(笑)。

オルタナティヴ、アメリカーナ、ポップ、ロックンロール、ドゥーワップ、ドリーム・ポップ、ガレージ・ポップ、ガレージ・ロック、ローファイ、レトロ・ポップ、シンガー・ソングライター、ナッシュヴィル…。

いやー、ほんと欲張り。ここまで言われたらとりあえず聞いてみなきゃ、と。で、聞いてみました。そしたら、けっこうそれなりに面白かったので、紹介しておきます。デトロイト経由でナッシュヴィルにたどり着き、そこを本拠にしているらしきシンガー・ソングライター、ステフィー・ジェイムズ。

素性はよくわからないのだけれど、なんでも15歳のときにお兄ちゃんと一緒にナッシュヴィルにコーヒー・ショップをオープンしたらしく。そこでアニタ・ベイカーと知り合って一緒にツアーに出たり、ジョン・ベティスと曲を共作したり、ベティスに紹介されてマイケル・ボルトンとも一緒に活動したり、レオン・ラッセルのオープニング・アクトをつとめたり、バディ・ミラーやダン・アワーバックとレコーディングをしたり…。

まあ、ナッシュヴィル本拠ってことで、基本的にはアメリカーナ的な立ち位置で活動しているようなのだけれど。タウンズ・ヴァン・ザントとかガイ・クラークとか、ナッシュヴィル的なストーリーテラーの伝統も受け継ぎつつ、そこに1960年代のガール・グループのキュートさとか、ドゥーワップのドリーミーさとか、ロイ・オービソンの朗々たるテキサス風味とか、フィル・スペクターの狂気とか、サーフ・インストのトワンギーっぽさとか、イギー・ポップのパンク感覚とか、ビリー・ホリデイの哀しさとか、多彩な要素を持ち込んで、ノスタルジックでありながら、どこか危うい新奇さ渦巻く音世界を構築している。

今回はアラバマ・シェイクスやハレイ・フォー・リフラフも手がけていたアンドリア・トキック(って読み方でいいのかな。Andrija Tokic)がプロデュース。ジャック・ローレンス(ベース)、マット・メノルド(ギター)、ビリー・コントレラス(ストリングス)らがバックアップ。過去、シングルとかEPでリリースずみの曲の再演などもあり。

アルバム・タイトルからも感じられる通り、深夜の街を舞台に、愛を失ったり、見つけたりしながら揺れる心を魅力的に映像化してみせてくれる感じ。今のところバンドキャンプ以外ではフィジカル、見かけてません。

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