Disc Review

Leslie Stevens / Leslie Stevens (Leslie Stevens/Soundly Music)

レスリー・スティーヴンス/レスリー・スティーヴンス

レスリー・スティーヴンス&ザ・バジャーズのレスリーさん。もともとガールズ・パンク・バンド、ツァイトガイスト・オート・パーツのメンバーで、ザ・バジャーズ以外にも、キャスリーン・グレイス、ジェイミー・ドレイクと組んだディア・レモン・ツリーズってソングライター・ユニットとして活動したり、ソロ・アルバムも出したり…。

2016年のソロ作『ザ・ドンキー・アンド・ローズ』はミルク・カートン・キッズのケネス・パッテンゲールが、2019年の『シナー』はファーザー・ジョン・ミスティ、ジェニー・O、ドーズ、コナー・オバーストなどを手がけてきたジョナサン・ウィルソンがそれぞれプロデュース。人脈的にも、なんだか気になる存在であります。なんでも近ごろは、以前ソロ・アルバムのバック・コーラスとしても関わっていたジム・ジェイムスとのコラボ・プロジェクトも進行中だとか。

と、そんなレスリーさんの新作。なんと初のセルフ・タイトルド・アルバムです。

今回はマイ・モーニング・ジャケット/ジム・ジェイムス、レイ・ラモンターニュ、アンドリュー・バードなどとの仕事でもおなじみ、ケヴィン・ラッターマンとの共同プロデュース。マイ・モーニング・ジャケットのボー・コスター(キーボード)やインキュバスのニコール・ロウ(ベース)、グレッグ・リーズ(ペダル・スティール)などにバックアップされつつ、ほのかに懐かしいテイストをたたえた“いい曲”をたっぷり聞かせてくれる。

ゆるめにスペクター・サウンドを採り入れた感じの、どことなくJ.D.サウザーとかロイ・オービソンとかを想起させる「ビッグ・タイム、サッカ」で幕開け。後期フリートウッド・マックの影が漂う「サッチ・ア・グッド・タイム・ウィズアウト・ユー」とか、グレッグ・リーズのペダル・スティールが広がりを演出するカントリー・ロック・バラード「ブルー・ローズ」とか、ひとり多重ハーモニーも心地よい「アイ・フォール・ダウン」とか、しみる曲多し。

前出の3人組、ディア・レモン・ツリーズのEPでは3人の無垢なハーモニーで綴られていた「ホエン・ザ・ムーン・フェル・イン・ラヴ・ウィズ・ザ・サン」の再演も。ストリーテラーとしてより深みを増したみたい。

今のところデジタル・リリース・オンリー。自身のWEBサイトの情報によれば、フィジカルは4月26日、カラー・ヴァイナルLPが出るみたい。プレ・オーダーしとこうかな。

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