Disc Review

Loss of Life / MGMT (Mom+Pop)

ロス・オヴ・ライフ/MGMT

MGMT、久々の新作です。

アンドリュー・ヴァンウィンガーデンとベン・ゴールドワッサーによるニューヨークのポップ・デュオ。前作『リトル・ダーク・エイジ』も5年ぶりの一作だったけれど、今回も6年ぶり。すっかり寡作になっちゃって。いろいろ方向性に関して曲折があるのかな。ただ、ちょこっとだけ迷いも漂っていた前作に比べて今回はかなり吹っ切れた感じ。

エレクトロ・サイケとか、ポップ・プログレ…とか形容されることも多い彼らながら、もはやそれほどエレクトロでも、サイケでも、プログレでもなく。今をときめくキャロライン・ポラチェックの元相方、売れっ子プロデューサーのパトリック・ウィンバリーを前作に引き続き共同プロデューサーに迎えて、かなりエヴァーグリーンなアダルト・コンテンポラリー・ポップ・サウンドを構築してみせている。

それを成熟と呼ぶならば、間違いなく成熟を記録した1枚なのだけれど。ポイントは“成熟”というキーワードと裏腹っぽい“青さ”のようなものも彼らが失っていないところかも。匿名性が高いのに、聞けばすぐ、あ、MGMTだ…とわかる内省的な音宇宙の感触はそのままだ。

リード・トラックのひとつ「マザー・ネイチャー」のサビではオアシスを意識しているとかで。なんだか相変わらずずいぶんと自由だ。初期デヴィッド・ボウイと中期ビートルズが渾然と渦巻く感じの「ナッシング・チェンジズ」から「フレイディーズ・ソング」、「アイ・ウィッシュ・アイ・ワズ・ジョーキング」を経て、アルバム表題曲へと至るアルバム終盤の流れがなんとも儚くて、美しくて、素晴らしい。

デンジャー・マウスやワンオートリックス・ポイント・ネヴァーもプロデューサーに名を連ねているほか、「ダンシング・イン・バビロン」って曲ではMGMTにとって初のフィーチャリング・アーティストとしてフランスのクリスティーヌ&ザ・クイーンズも参加している。

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