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Disc Review

The Poet + The Poet II / Bobby Womack (ABKCO)

ザ・ポエット+ザ・ポエットII/ボビー・ウーマック

世の中、今日あたりは3/21に出る“ロンバケ”の40周年記念VOXのフラゲまつりで大騒ぎって感じだと思うけれど。“ロンバケ”に関しては今回、これまでになく特集号もたくさん出ているし、本ブログで取り上げるまでもなさそう。テレビ、ラジオの特番も多数組まれているし。まあ、ぼくも一部、絡ませていただいておりますが…(笑)。

なので、今朝のブログでは別の40周年もの、ご紹介します。ボビー・ウーマックが1981年にリリースした、彼にとって唯一の全米R&Bアルバム・チャート1位作品『ザ・ポエット』の発売40周年を祝うリイシュー。これまた絶対に見逃せません。

ボビー・ウーマックに関して、今さら改めて紹介する必要もないとは思うけれど。1950年代半ば、10歳のころに兄弟とともにウーマック・ブラザーズとしてゴスペル・サーキットで活動開始。やがてザ・ヴァレンチノズと改名して1962年、シングル「ルッキン・フォー・ア・ラヴ」を全米R&Bチャートに送り込んで以来、グループで、あるいはソロ・パフォーマーとして、セッション・ギタリストとして、ソングライターとして、無数の名演を生み出してきた。

ローリング・ストーンズの「イッツ・オール・オーバー・ナウ」もジョージ・ベンソンの「ブリージン」も彼の作品だった。アレサ・フランクリンやジャニス・ジョプリンらのもとではギタリストとしても腕を振るった。マライア・キャリー、50セントら後輩もこぞってウーマック作品をサンプリングした。時代も分野も超え、ウーマックのソウルはいきいきと躍動し続けた。

息の長いアーティストだけに、在籍したレーベルも、ミニット、ユナイテッド・アーティスツ、コロムビア、アリスタ、MCA、キャピトルなど多数。で、今回は1980年代、ビヴァリー・グレン・レーベルに所属していた時期のアルバム2作を、縁深いサム・クック絡みのアブコ・レコードが、まあ、何度目かではありますが、改めて再発することになった、と。出たのは、前述、今年発売40周年を迎えた1981年の『ザ・ポエット』と、その続編として1984年に出た『ザ・ポエットII』。

一般的にはミニット〜ユナイテッド・アーティスツ在籍期、1970年代の諸作の評価が高いようだけれど、1980年代の到来とともに心機一転、それまでの試行錯誤をすべて再構築する形でベテラン・アーティストとしての熟練を余すところなく音盤に定着させたこの時期のボビー・ウーマックも最高だ。1970年代の活動でつかんだすべてを1980年代に入って初のアルバムへと自信たっぷりに詰め込む…みたいな。まさに大滝さんの“ロンバケ”と同じ構造の下、同じ年に生まれた大傑作が『ザ・ポエット』だったわけだ。

『ザ・ポエット』はネイザン・イースト、デヴィッド・T・ウォーカー、ジェイムズ・ギャドソン、ポーリーニョ・ダ・コスタ、ザ・ウォーターズらがバックアップ。彼ら腕ききのプレイも、ウーマックのぶっといヴォーカルも、すべてが痛快。かっこいい。シングル・カットされて翌年全米R&Bチャート3位まで上昇した「イフ・ユー・シンク・ユーアー・ロンリー・ナウ」とか、「シークレッツ」とか、弟のセシル・ウーマック作「ジャスト・マイ・イマジネイション」とか、もういつ聞いてもたまりません。

アンドリュー・オールダムが共同プロデュースを手がけ、ジョージ・ベンソン、ウィルトン・フェルダー、フレッド・ウェズリーらがサポートした『ザ・ポエットII』のほうでも変わらず好調をキープ。パティ・ラベルをデュエット・パートナーに迎えたA面ノッケの3曲が超強力だ。ご存じの通り、ウーマックは2014年、70歳で亡くなっているのだけれど。今にして振り返れば、やはりこの時期、1980年代前半こそがパフォーマーとしての絶頂期だった気がする。

だから、そのほんの数年後、1987年に初来日を果たした彼のステージを体験できたことは本当に貴重だったなと思う。以降、全部で確か5回、来日してくれているけれど。個人的には断然初来日公演。忘れられない。デビュー以来、数十年に及ぶキャリアすべてを凝縮したようなおよそ1時間半のステージだった。すでに打ち込み全盛だった時代に、4管ホーン・セクション、2台のキーボード、パーカッションなどを含む超生身っぽい大所帯バンドを従え、ウーマックはソウル音楽黎明期からの数少ない生き残り、ソウル・サヴァイヴァーとして、説得力に満ちたラフでタフな歌声に乗せ持ち前の熱い魂を解放してみせた。すごい人だなと思った。思い知った。

“The only survivor left still standing here…”

初来日のちょっと前、1985年にリリースされたウーマックのアルバム『ソー・メニー・リヴァー』に収められていた「ジ・オンリー・サヴァイヴァー」という曲の一節だ。“たった一人の生き残りが、今なおここに立ち続けている…”と。これにもしびれた。もちろんウーマック自身のオリジナル曲で、曲中、彼はオーティス・レディング、マーヴィン・ゲイ、サム・クックらシーンを華々しく賑わしながらも志半ばで世を去った偉大なソウル歌手の名を挙げ、けれども自分だけはこうして生き残ったと、静かに、しかし確信をもって宣言していた。

まじ、かけがえのないソウル・マンだったな、ソウル・サヴァイヴァーだったなと思う。『ザ・ポエット』も『ザ・ポエットII』も、これまで何度もCD再発されてきた。アブコからも10年ほど前、2枚組仕様で出たことがあったし。ただ、オリジナル・マスター・テープが消失してしまったと長く信じられていたこともあり、これまではサブ・マスターを使っての再発。ところが、今回はなんとそれが発見されたとかで。両盤ともにオリジナル・テープからのリマスターが施されてのリイシューらしい。そりゃめでたい。

CDではもちろん、180グラム重量ヴァイナルLP(Amazon / Tower)、さらにハイレゾ・ダウンロード版でも出ました。ぼくはオリジナル・アナログ盤を持っているので、今回はハイレゾでゲット。最強サヴァイヴァーの心意気に、いい音でぶちのめされましょう。

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