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Disc Review

Come To The Sunshine: The Complete Warner Brothers Recordings / Harpers Bizarre (el/Cherry Red Records)

カム・トゥ・ザ・サンシャイン〜ザ・コンプリート・ワーナー・ブラザーズ・レコーディングス/ハーパース・ビザール

最近、本ブログでは、ふと油断しているとソッコー売り切れてしまう系の再発盤ばっかり紹介してる気がしますが(笑)。今日もそう。またまた再発もので申し訳ないけど。こういうの出ましたよ…ってことを、手遅れになる前になる早でお知らせしておきたいもんで。

ハーパース・ビザール。

まあ、この人たちの諸作もこれまで何度となくCD化再発されてきたので、今さらっちゃ今さらながら。今回は、彼らがオリジナル活動期に放った4枚のアルバムすべて、アルバム未収録シングル音源群もボーナス追加した形でひと箱にまとめたもので。最近本ブログで多く取り上げている英チェリー・レッド傘下のエル・レコードからのリリース。

10年ほど前、同じくチェリー・レッド傘下のナウ・サウンズからファースト・アルバムとセカンド・アルバムのモノラル・ヴァージョンが再発されたときみたいな、目もくらむほどの数のボーナス音源が入っているわけではないけれど、やっぱりこうやって諸作がまとまるのは便利でうれしい。

テッド・テンプルマン、ディック・スコパトーン、エディ・ジェイムズ、ディック・ヤントの4人が1964年に結成したザ・ティキスが母体だ。当初、在籍していたオータム・レコードがワーナー・ブラザーズに身売りしたのを機にハーパース・ビザールと改名。レーベル・メイトだったボー・ブラメルズのメンバーだったジョン・ピータースンを新メンバーに加え、当時ワーナーの新進プロデューサーだったレニー・ワロンカーの下、心機一転、再スタートを切った。以降、解散した1970年までの間にリリースしたオリジナル・アルバム4作が、今回のボックスにはひとまとめにされている。

CD1は1967年のファースト・アルバム『フィーリン・グルーヴィ』を核とする1枚。このアルバムはご存じの通り、再デビュー・シングルとなったサイモン&ガーファンクル作品のカヴァー「59番街橋の歌(フィーリン・グルーヴィー)(The 59th Street Bridge Song - Feelin' Groovy)」が全米13位まで上昇するヒットを記録したことで急遽制作されたもので。

レニー・ワロンカーの仕切りで、ヴァン・ダイク・パークス、ランディ・ニューマン、ペリー・ボトキン・ジュニア、ロン・エリオットら当時の西海岸ポップ・シーンを支えていた若き才能が勢揃い。レオン・ラッセル、グレン・キャンベル、ハル・ブレイン、ジム・ゴードン、ジョー・オズボーン、キャロル・ケイ、ライル・リッツ、トミー・テデスコらレッキング・クルーの面々のバックアップを受けつつ、ロックでも、ジャズでも、カントリーでも、フォークでも、R&Bでも、クラシックでもない、どのジャンルにも属さない、まさに“バーバンク・サウンド”としか形容のできないユニークなポップ・サウンドをクリエイトしてみせた。

オープニングを飾るヴァン・ダイク作のサンシャイン・ポップの大傑作「カム・トゥ・ザ・サンシャイン」に始まり、ロジャース&ハマースタインII作の「ハッピー・トーク」、ブルース&テリーも歌っていたラリー・マークス作品「カム・ラヴ」、ヒットした「59番街橋…」、ロン・エリオットやロバート・デュランドも協力して構築したプロコフィエフの「ピーターと狼(Peter And The Wolf)」ポップ・ヴァージョン、そしてレオン・ラッセル作品2曲、ランディ・ニューマン作品3曲。で、そこにシングルB面曲「ロスト・マイ・ラヴ・トゥデイ」と「バイ・バイ・バイ」が追加されている。

CD2は同じく1967年リリースのセカンド『エニシング・ゴーズ』。ハロルド・アーレン、コール・ポーター、サミー・カーン&ジミー・ヴァン・ヒューゼン、マック・ゴードン&ハリー・ウォーレンといったソングライター陣によるスタンダード系作品から、前作から引き続きのランディ・ニューマン、ヴァン・ダイク・パークスらに加えて、ダグ・カーショウ、デヴィッド・ブルー、ジミー・グリフィンらの作品、ジョルジュ・ムスタキ作品、さらにはテッド・テンプルマン&ディック・スコパトーン作のオリジナルまで。ボーナスはシングルB面で発表されたテレビ番組の主題歌「マリブU」と、ケニー・ランキン作の「コットン・キャンディ・サンドマン」のシングル・ヴァージョン。

CD3は彼らの最高傑作とも評価されている1968年のコンセプト・アルバム『シークレット・ライフ(Secret Life of Harpers Bizarre)』。ミュージカル映画『フィニアンの虹』の挿入歌「虹を見てごらん(Look to the Rainbow)」で始まり、19世紀の米英戦争を題材にしたカントリー「バトル・オヴ・ニューオーリンズ」、イアン&シルヴィアのフォーク「ホエン・アイ・ワズ・ア・カウボーイ」、ドリス・デイを擁するレス・ブラウン楽団のヒット「センチメンタル・ジャーニー」、エキゾチックなバート・バカラック作品「ミー・ジャパニーズ・ボーイ」、ガーシュウィン兄弟作の「天国への階段(I’ll Build a Stairway to Paradise)」、ミュージカル『ガイズ&ドールズ』の「シット・ダウン・ユーアー・ロッキング・ザ・ボート」などに、テンプルマン&スコパトーン作のオリジナル、ランディ・ニューマン作品、ロン・エリオット作品を交えて、ラスト、ロジャー・ニコルス&ポール・ウィリアムス作の「ザ・ドリフター」で締め。

どこかブライアン・ウィルソンとヴァン・ダイク・パークスが当時作り上げようとしながらも頓挫してしまった幻のアルバム『SMiLE』にも通じるような、西部開拓時代、米英戦争など、19世紀アメリカの原風景から、メキシコ、日本にまでイメージを拡げたポップ絵巻。そこにアルバム未収録シングルのAB面、ジョニ・ミッチェル作品「青春の光と影(Both Sides Now)」と「ギャリー・ボナー&アラン・ゴードン作品「スモール・トーク」をボーナス収録。

で、CD4が1969年の『ハーパース・ビザール4』。エディ・フロイドの「ノック・オン・ウッド」やオーティス・レディングの「ハード・トゥ・ハンドル」のようなR&Bから、バリー・マン&ジェリー・ゴフィン作の「サムシング・ベター」、ビートルズの「ブラックバード」、同名映画主題歌「アイ・ラヴ・ユー、アリス・B・トクラス」、ジム・ペッパーのエキゾチックなノヴェルティ・ヒット「ウィッチ・タイ・トゥ」、ジョン・デンヴァー作の「悲しみのジェット・プレーン(Leaving on A Jet Plane)」、前述ケニー・ランキン作の「コットン・キャンディ・サンドマン」のアルバム・ヴァージョン、そこにテンプルマン&スコパトーン作のオリジナル群が加わる。

とてつもなく幅広いジャンルの楽曲を、すべてハーパース・ビザールならではの匿名性の高いハイセンスなサウンドで構築してみせたオリジナル・ラインアップによるラスト・アルバムだ。ボーナスはハリー・ニルソン作「ポリィ・ハイ」とトーマス・ドーシー作の「イフ・ウィー・エヴァー・ニーディド・ザ・ロード・ビフォア」。

というわけで、これまでハーパース・ビザールの再発CDを買ってきた方にしてみれば、ボーナス・トラックも含めて全部おなじみの音源ばかり。全作何らかの形で持っているなら改めて買い直す必要もないとは思うけれど。ほら、こうしてひとところにまとまってくれちゃうと、なんだか愛おしくなって…ね(笑)。またやらかしちゃうわけです。学んでません。まったく。

もちろん、これまで彼らのアルバムを未入手の方には今回がコンプリート・コレクションの下地を作るための絶好の機会か、と。

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