Disc Review

To Whom It May Concern / Alexander Wren (self released)

トゥ・フーム・イット・メイ・コンサーン/ アレクサンダー・レン

またまた最近バンドキャンプで出会した個性です。米中西部インディアナ州出身で、現在はニューヨーカー。懐かしのシンガー・ソングライター時代の感触を思い起こさせてくれる、なんとも不思議な26歳の初フル・アルバムだ。

2016年と2018年にEPをリリースしていたのだけれど、当時ぼくはまったくスルーしちゃってて。でも仕方ない。本国アメリカでもそれらのEPはほぼ鳴かず飛ばず。特に何の動きもなかったのだから。

なもんで、アレクサンダーくん、皿洗いとか清掃関連とかのバイトとかしながらさらなる資金をためて、今度はナッシュヴィルへ。自らバンドを率いて音楽活動するほか、ヘイリー・ウィリアムスのプロデュースとか、アッシャーのミックスとか、ナッシュヴィルを本拠にいろいろ活動しているマイカ・トークスの協力の下、10年近い歳月の間に書きためた500曲以上からセレクトした楽曲をレコーディング。

その辺の音源は2020年ごろからちょこちょこシングルとしてリリースされてきて。それらを一気に詰め込んだ形で編まれたベスト盤的な1枚が今回ご紹介する『トゥ・フーム・イット・メイ・コンサーン』なのでありました。

短いノック音だけのトラックも含めて全13曲。てことで、実質12曲ですが。多彩な音楽性がナチュラルに並んでいる。エルトン・ジョンやレオン・ラッセル、ランディ・エデルマンなどを思わせるピアノ・ポップあり、サンシャイン・ポップ調あり、ランディ・ニューマンを思わせるシニカルな独白あり、屈折気味のロカビリーあり、歪んだゴスペル調あり、アコースティック・ギターのスリー・フィンガーが印象的なフーテナニー調あり、ペダル・スティールに彩られたカントリー・ロック調あり…。

まだ会ったこともない女の子にラヴレターを書いたり、一日中働かなければいけない日々を嘆いたり、何も残されていない関係性を憂いたり、それでも愛を見つけようとしたり。音楽的にはなんだか趣味がやけに古くて、友達とかいなさそうだけど(笑)。ある特定世代にとっては抗いようのない味が感じられて。これからもこの持ち味、大切にしながら成長していってもらいつつ、バイト生活から解放されることを願う次第でございます。

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