Disc Review

Now Is the Time / Lavender Diamond (Petaluma Records)

ナウ・イズ・ザ・タイム/ラヴェンダー・ダイアモンド

昨夜はCRT忘年会スペシャル、ヨシンバ Live@渋谷LOFT HEAVEN。楽しかったー。ヨシンバの新旧オリジナル曲群に加えて、「ウイチタ・ラインマン」のカヴァー。セットリスト的にもごきげんでした。

ファースト・セットとセカンド・セットの間の音楽トークにはわれわれCRTのMC陣も加わってわいわいと盛り上がり…。ご興味ある方、あと2週間ほど見逃し配信もありますので、よろしければこちらでチェックしてみてください。

と、そんな超楽しかったイベントの翌朝。今日は一転して朝早くからあんまり楽しくない(笑)3ヶ月に一度の検診。なもんで、チャチャッと軽い更新です。ちょっと不思議な魅力を放つロサンゼルスのネオ・フォーク/インディ・フォーク系歌姫、ベッキー・スタークがフロントをつとめるシアトリカルなアート・ポップ・ユニット、ラヴェンダー・ダイアモンドが久々に放つ新作のご紹介。

というか、この人たち、いつも久々で。

インディーズからのデビューが2003年。その後、米国ではマタドール・レコード、欧州ではラフ・トレード・レコードとそれぞれ契約してメジャー・デビュー・アルバム『イマジン・アワー・ラヴ』をリリースしたのが2007年。その後、メンバーそれぞれ別プロジェクトでの活動に突入したこともあり、バンドのほうはちょっとお休み。2011年にようやく再結集して地元ロサンゼルスでいくつかのコンサートを催して。2012年、メジャーからのセカンド・アルバム『インコラプティブル・ハート』をリリース。ここから改めてバンド活動を再開するのかと思いきや、そこからまた8年が過ぎて。

幾度かのメンバーチェンジを経て、現在は3人組になっているという彼ら。ようやくフル・レングスのサード・アルバムをリリースしてくれた。それが『ナウ・イズ・ザ・タイム』。今がそのとき。なるほど。再々始動のとき…ってことか。確かに。

なんだかあらゆることが重苦しくて、フラストレーションが渦巻いていて、誰もが冷笑的になっていて…。そんな未曾有の2020年の締めくくりに、解毒剤のようにしみわたる、ほのかな希望をたたえた1枚をラヴェンダー・ダイアモンドが届けてくれたわけで。まさしく、今、このときに届けられるべきアルバムの誕生だ。

1960年代後半のアシッド・フォーク、あるいは1970年代初頭のシンガー・ソングライターあたりのテイストに貫かれた澄んだ歌声。空間を活かしたアコースティカルなアンサンブル。ストリングスやコーラスのふくよかな響き。すべてがどこかパラレル・ワールドから届く聖歌のよう。

「プリーズ・プラント・ザ・シーズ」の“お願い、私と一緒に平和の種を植えて…”という一節とか、「オーシャン・アンド・グラウンド」の“どんな愛も限りない/どんな愛もリアル/私たちを癒やす道がある…”とか、なんともくっさい歌詞が満載されているのに、この人たちの音世界に包まれるとそれらの言葉がとても素直に、まっすぐ聞く者の心に飛び込んでくるから不思議だ。

夢と愛と癒やし。こういう、静かな“強さ”もあるということ。フィジカルのリリースは来年2月らしく。今のところbandcampとかAmazonとかでのデジタルアルバム販売かSpotifyとかApple Musicとかの配信オンリーみたいだけど、よろしければ下のリンクからお試しあれ。

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