ホワット・ナウ/ブリタニー・ハワード
現在、活動休止中のアラバマ・シェイクスのフロントを張るブリタニー・ハワード。2019年のファースト・ソロ・アルバム『ジェイミー』に続く新たなソロ作が出ました。
プロデュース・クレジットはブリタニーご本人だけれど、シェイクスの『サウンド&カラー』や、前ソロ作『ジェイミー』などでもタッグを組んでいたショーン・エヴェレットも大きく貢献しているみたい。ナッシュヴィル、ロサンゼルス、パリなどを渡り歩きながら制作されたらしき1枚。
ブリタニーさん、ほんとに感受性が鋭くて、対応力もあって。すごい才能だと思う。成長ぶりがとてつもなくて、くらくらするほど。今回もサイケデリア、エレクトロ、ユーロ・ディスコ、ファンク、ソウル、ゴスペル、アヴァン・ジャズ、チェンバー・ポップなど、今の旬を先取りするようなものから伝統的なものまで、1曲ごとにびっくりするほど多彩なスタイル/方法論を採り入れていて。たじろぐばかり。愛、葛藤、破壊、救済など様々なテーマが深いところで渦巻いています。
まあ、以前『ジェイミー』を取り上げたときにも書いたことだけれど、ぼくの場合、相変わらずアラバマ・シェイクスが大好きで。しかも冒険心に満ち満ちた音作りに挑んだセカンドより、ブリタニーのソウルフルな歌声を今どき超珍しいほど簡素で木訥とした南部ロック・サウンドでまっすぐ支えたファーストがいまだ忘れられないという、そんな未練たらしいお古いタイプのリスナーなもんで(笑)。ちょっと曲によってはこちらが対応しきれないというか。そういう感触も、正直あるのだけれど。
なもんで、ぐっとスウィート・ソウル寄りの音作りが聞かれる「アイ・ドント」とか「ペイシェンス」とか、きわめて内省的なバラード「トゥ・ビー・スティル」とか「サムソン」とかが今のところ個人的なお気に入り曲。とはいえ、何度も聞いているうちに他の曲も離れがたくなりそうな気配もあり。じっくり付き合ってみます。