ヒッツ・アンド・ミッシーズ:ザ・シングルス/イーライ・ペ-パーボーイ・リード
白人ながらR&Bへの限りなき愛情を炸裂させたホットなパフォーマンスでおなじみ、イーライ・ペイパーボーイ・リード。以前、2019年のアルバム『99セント・ドリームス』を紹介したこともあったけれど。
彼の新作、出ました。といっても今回はアルバム・タイトルからもわかる通り、過去にアルバム未収録の7インチ・シングルとか、コンピレーション・アルバムとか、CDのボーナス・トラックとかで発表してきたレア音源を拾い集めた1枚。入手がむずかしかった音源も多いので、これはうれしい。
選曲的にはカヴァーが基本。FAMEスタジオでデヴィッド・フッドやスプーナー・オールダムらをバックに一発録りされたソウル・チルドレンの「アイ・ドント・ノウ(ホワット・ザ・ワールド・イズ・カミング・トゥ)」とジミー・ヒューズの「スティール・アウェイ」をはじめ、ラティモアの「レッツ・ストレイトゥン・イット・アウト」、リー・モーゼズの「バッド・ガール」など、ソウルものがもちろん多いのだけれど。
それに加えて、モーターヘッドの「エース・オヴ・スペーズ」、スティーリー・ダンの「ドゥ・イット・アゲイン」、ボブ・ディランの「トゥ・ビー・アローン・ウィズ・ユー」など、ロックものもあり。さらにはカントリーものとしてマール・ハガードの「アイム・ゴナ・ブレイク・エヴリ・ハート・アイ・キャン」も。
ごきげんな選曲だ。でもって、そこに海外ツアー用の物販として販売されたアナログ・シングル収録のオリジナル曲なども追加されている。「IDKWYCTD(アイ・ケイム・トゥ・プレイ)」「ザッツ・ラヴ」がイーライさん単独のオリジナルで、「エニータイム・ユー・ウォント・ミー」がマーヴェル・コミック・アニメのサントラのためにダップ・キングス人脈のトーマス・ブレネックと共作したナンバーだ。
この選曲からにじみ出る幅広い目配りと、しかしあくまでも往年のソウル感覚にこだわったピンポイントなアレンジ。その理想的な合体こそイーライ・ペイパーボーイ・リードの真骨頂。既発音源集ではあるものの、痛快なオリジナル・アルバムとして楽しめる1枚です。今朝の段階で、なぜかAmazonはデジタル・リリースのみ。輸入盤CDを扱ってないな。国内盤(Amazon / Tower)は11月発売。