Disc Review

Jump For Joy / Hiss Golden Messenger (Merge Records)

ジャンプ・フォー・ジョイ/ヒス・ゴールデン・メッセンジャー

ノース・カロライナ本拠のシンガー・ソングライター、M.C.テイラーによるゆるめのアメリカーナ・プロジェクト、ヒス・ゴールデン・メッセンジャー。

パーソナルな苦悩を託した2019年のアルバム『タームズ・オヴ・サレンダー』がグラミー賞のアメリカーナ部門にノミネートされたあたりで一気に注目度をアップさせて。2021年の『クワイエットリー・ブロウイング・イット』ではちょっとメランコリックでソウルフルなテイストなどもあえて導入しつつ、新型コロナのパンデミックの非日常に逆説的に対してみせて。

それに続く新作、出ました。今回はM.C.テイラーが自らのオルター・エゴとも言うべき10代のドリーマー、マイケル・クロウというキャラクターを主人公に据えて、彼の視点で紡いだ楽曲で構成されたアルバムに仕上がっている。

プロデュースはテイラー本人。去年の秋、2週間ほどテキサス州トルニージョにある伝説のソニック・ランチ・スタジオにこもって、長年の盟友スコット・ハーシュのエンジニアリングの下でレコーディング。クリス・ボーナー(ギター)、アレックス・ビンガム(ベース)、サム・フリブッシュ(キーボード)、ニック・フォーク(ドラム)らががっちりサポートしている。イーファ・オドノヴァンやエイミー・ヘルム、メグ・ダフィら興味深い顔ぶれもコーラスで参加。

リトル・フィートっぽいバウンドするロック・グルーヴあり、グレイトフル・デッド的なレイドバック系ジャム・チューンあり、ファンキーなストラットものあり、ヨット・ロックかよ…的なメロウものあり、1970年代シンガー・ソングライターっぽい告白ものあり。曲ごとに様々な米国サウンドのフォーマットを取り込みながら、的確に世界観を編み上げている。

こんな時代だから。もちろん歌詞には暗い事柄もたくさん描かれていて、それらがサイケデリックでコズミックな不協和音とともに音像の表面に浮き上がってきたりもするのだけれど。でも、アルバム全編を貫くどこか楽観的な感触がすべてをなぎ倒す。そんなことも含め、きわめて今っぽい1枚だなと思いました。

冒頭2分くらいの寸劇(笑)を飛ばしたい方は https://www.youtube.com/watch?v=3-PMLdnU0aY&t=130s へ。
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