Disc Review

Moon River / Eric Clapton, Jeff Beck (EPC/Surfdog Records)

ムーン・リヴァー/エリック・クラプトン、ジェフ・ベック

本日リリースの新作アルバムとしてはポール・サイモン(Amazon / Tower)とか、グレアム・ナッシュ(Amazon / Tower)とか、ミルク・カートン・キッズ(Amazon / Tower)とか、話題盤が目白押し。でも、その辺は来週以降にまわして。先週末にデジタル・リリースされたこの曲でとりあえず今週末は泣きます。

エリック・クラプトンとジェフ・ベックのコラボレーション・シングル「ムーン・リヴァー」!

今年1月に亡くなったジェフ・ベックといえば、来週アタマ、5月22日と23日、英ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで“ザ・トリビュート・トゥ・ジェフ・ベック”という追悼コンサートが催されるわけですが。

これ、主催者はベックの奥さま、サンドラさんと盟友エリック・クラプトン。出演者はロッド・スチュワート、ロニー・ウッド、ZZトップのビリー・ギボンズ、エアロスミスのジョー・ペリー、イメルダ・メイ、ジョニー・デップ、ゲイリー・クラーク・ジュニア、スーザン・テデスキ&デレク・トラックスなどなど。

見たいよねー。もちろん何らかの形で映像パッケージ化される企画だとは思うけれど、生で見たいなー。生で出演者の方々とともに追悼したいなー。泣きたいなー。渡英なさる熱心なファンもいらっしゃるんだろうなー。

と、そんな垂涎もののコンサートを目前に発表されたのが「ムーン・リヴァー」。“クロスローズ・ギター・フェス”とか、例の“ロニー・スコッツ・クラブ”とか、夢の2009年の来日公演とか、けっして頻繁にではないものの、これまでもここぞのタイミングで感動的な共演を果たしてきた二人にとって、これが最後の共演なのかな…。

ジェフ・ベックが亡くなるちょうど1年前、2022年1月にレコーディングされたものだとか。ジョニー・マーサー作詞、ヘンリー・マンシーニ作曲。映画『ティファニーで朝食を』(1961年)の主題歌。アンディ・ウィリアムスの持ち歌としてもおなじみの超名曲を二人で感動的に綴っています。

この曲、2009年の来日公演の勢いをかって、翌年北米/英国でも行われたツアーでカヴァーしていたっけ。それがついにスタジオ・レコーディングされたわけだ。プロデュースはクラプトンと、いつものサイモン・クライミーとの共同名義。7インチ・アナログ・シングルがブツとしてリリースされるのは7月14日になってからみたいだけれど、ダウンロードおよびストリーミングは5月12日にスタート。と同時にビデオクリップも公開されて。

このビデオがまたけっこう泣ける仕上がりなもんで。あまりシングルを紹介する機会がない本ブログではありますが、今朝はこれ、紹介しちゃいました。

ジェフ・ベックがリード・ギター、エリック・クラプトンがヴォーカルとサイド・ギター。クラプトンが歌い始める前、ワン・コーラス、ギターでメロディを綴るベックがたまらない。この歌心。歌詞が聞こえてくるギター。真骨頂だ。

ビデオクリップにはクラプトンとベックと思われるアニメの主人公たちがギター・ケース持って登場するのだけれど。並んでとことこ歩いてきた二人がふと立ち止まり、まだまだ先に続く曲がりくねった道を眺めたり、空を見上げたりする姿に、“二人の漂流者が世界を見るために旅立つ/まだ見たことのない世界がたくさんある/同じ虹のしっぽを目指して/あのうねった流れを漂うんだ/子供のころからの友と…”という歌詞が流れる。

同じヤードバーズというバンドをスタート地点に長い歳月、それぞれ独自のやり方でそれぞれの“ブルース”を追求してきた二人が音を重ねるさまに、なんだか無条件にぐっときてしまうわけですよ。

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