Disc Review

Nichols & Phillips: Three Fools / Jeb Loy Nichols (Jeb Loy's Yard)

ニコルズ&フィリップス:スリー・フールズ/ジェブ・ロイ・ニコルズ

ゴールデンウィーク、いかがお過ごしでしょうか。ぼくは特に変わらず。たっぷり休もうかと思っていたのだけれど、結局は普通に月末〜月アタマの日々を過ごしている感じで。でも、さすがに日中のウォーキングはのんびり気分。そんなときのBGMに絶好だったアルバムを今朝は紹介しておきましょう。

以前、本ブログでもこことかこことかこことかで紹介したことがあるジェブ・ロイ・ニコルズ。去年リリースされたものの、ちょっと紹介しそびれたままだったフル・アルバム『ザ・ユナイテッド・ステイツ・オヴ・ザ・ブロークン・ハーテッド』や、今年アタマのライヴEP『アンダー・ザ・ウィロー・ツリー』に続くニュー・リリースだ。ジェブ・ロイの新レーベル“ジェブ・ロイズ・ヤード”からの初フル・レングス・リリースということになる。

米ワイオミング州で生まれ、ミズーリ州で育って、その後、テキサス州に移って、やがてニューヨークで暮らしたり、スペインに渡ったり、渡英してロンドンに住んでみたり…。と、放浪癖があるっぽいジェブ・ロイさんですが。現在は英ウェールズの田舎町でのんびり絵を描いたり、小説を執筆したりしながら過ごしているのだとか。

そんなウェールズでのレコーディング。今回はマルチ・インストゥルメンタリスト/プロデューサーのクロヴィス・フィリップスと組んだ“ニコルス&フィリップス”名義による1枚だ。このデュオでは去年の暮れ、『ライヴ・イン・ジャーマニー2022』というライヴ盤もリリースして、息の合ったところを聞かせていたけれど。今回はクロヴィスさんがウェールズの奥地に持っているという“アド・ア・バンド”なるスタジオで録音されている。

ライヴ盤が二人の奏でるギターだけでバックアップされていたのに対し、今回はクロヴィスさんがギターだけでなくベース、マンドリン、ウーリッツァ・ピアノなどもダビング。ジェブ・ロイさんならではのスモーキーでハスキーな歌声を的確にバックアップしている。といっても必要以上の装飾はなし。こちらもほぼ一発録りっぽい、きわめてナチュラルなパフォーマンスが展開されている。素晴らしい。

全12曲中11曲がニコルス&フィリップス共作による自作曲。ラストに収められている「アイド・ラザー・ビー・ユア・フレンド」だけ故ドニー・フリッツの作品だ。初めて聞いた曲だったけれど、ドニー・フリッツらしいしみる曲でした。他の曲もすべてブルージーだったり、フォーキーだったり、ソウルフルだったり、ジャジーだったり…。シンプルかつアコースティカルな手触りの下、いろいろな音楽性がさりげなく魅力的に交錯していて。全編、なんとも初夏っぽい、素敵な仕上がり。3曲ほど、前述したドイツでのライヴ盤でも披露ずみの曲が含まれてます。

歌詞的には「ナンバー・フォー」って曲が印象に残ったなぁ。“見てみたいリンゴの木があるんだ/探検したい砂利道がある/今日やりたいリストが3つ/そして4つ目は“ノー・ワーキング”、働かないことさ”とか飄々と歌っていて。なんだかブライアン・ウィルソン〜ビーチ・ボーイズの「ビジー・ドゥーイン・ナッシン」を思い出してしまった。何もしないことで忙しい一日(笑)。いいよねー。

そうそう。「オール・アイ・ウォナ・ドゥ・トゥデイ・イズ・スリープ」なんて曲も入っていて。今日は寝たいだけ、と(笑)。こっちでは“大きな計画を立ててここに来ちゃいけない/計画を立てることが混乱を生む/案ずるより産むが易し、為すが難し/だから帰ってくれ、俺は休みたいんだ”って歌っていた。

フィジカルはバンドキャンプで限定250枚とかでヴァイナルLPが売られていて。それだけしかまだ見てません。うー、悩ましい。送料高いからなぁ…。

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