NBPファイル vol.47:バディ・ホリーよ、永遠に
スロウバック・サーズデイ恒例、NBPプレイリスト。今週はバディ・ホリー、いきます。
というのも明日、2月3日というのがロックンロール史上もっとも悲劇的と言うべき衝撃の事故が起こった日だから。そう。今から64年前、1959年の2月3日。のちに映画『ラ・バンバ』などでも描かれることになる飛行機事故が起こったのでした。
「ザットル・ビー・ザ・デイ」「ペギー・スー」などのヒットで快進撃を続けていたバディ・ホリーと、ラティーノ・ロックの新星リッチー・ヴァレンスと、スピーディなノヴェルティ・ソング「シャンテリー・レース」をヒットさせていたビッグ・ボッパーと。人気ロックンローラー3人を乗せたチャーター機が、アイオワ州メイソン・シティの飛行場を飛び立ったのが同日の深夜2時。クリア・レイクで行なわれたロックンロール・ショー“ウィンター・ダンス・パーティ”終演後、次なる公演地、ミネソタ州ムーアヘッドへと向かうためだった。
そしてほんの数分後、チャーター機は自然の猛威に負けて墜落。搭乗者全員の命を奪った。このロックンロール・ショーに参加したミュージシャンは、普段はすべてバス移動。飛行機など使わなかった。が、季節は冬。極度の寒さの中で続けられた長い長いコンサート・ツアーだ。バスの中で、ちゃんと靴下をはき、もちろん靴もはいたまま、しかし凍傷になって入院したメンバーまでいたほどだ。我慢の限界がきていた。そこで、一部のメンバーが飛行機をチャーター。それが大きな運命の分れ道になった。ツアーに同行していたディオンがのちにこんなふうに振り返っていた。
「コンサートが終わってから、次の公演地に飛行機で行かないかって誘われた。バディたちは、ヘアカットをしたり、衣装を洗濯したり、いろんな雑用を早くすませてしまいたかったらしく、目的地へ急いでいたんだ。でも、ぼくは自分のバンドの連中と一緒にバスで移動することにした。そうしたらあの悲劇が起こったのさ…」
あまりにも悲しい事故だった。1972年、全米1位に輝いたヒット「アメリカン・パイ」の中でドン・マクリーンはこの日のことを“音楽が死んだ日(The day the music died)”と歌った。ジョージ・ルーカス監督による映画『アメリカン・グラフィティ』の中にも名セリフがあったっけ。
「ロックンロールはバディ・ホリーが死んだときに終わったのさ」と。
というわけで、今回のNBPプレイリストはそんな偉大なロックンロール・オリジネイターのひとり、バディ・ホリーが主役です。バディ・ホリーがロックンロール黎明期に成し遂げた功績は本当に大きい。その辺に関してはずいぶんと前、本ブログでもこことかに書いたので繰り返しませんが。まじ、偉大。改めてたたえましょう。
日本ではもしかしたら今ひとつ知名度が低いかもしれないバディ・ホリーながら。英米ではエルヴィス・プレスリーと並ぶ偉人。それだけにカヴァーも多い。てことで、今回は多彩なアーティストによるバディ・ホリー・カヴァー集です。
バディ・ホリー自身に関しては、たとえばキュッとコンパクトなこれとか、全録音総まくりのこれとか、充実したベスト盤とかもサブスクのストリーミングで楽しめるのでそっちで聞いていただくことにして。こちらでは、バディ・ホリーが多くのアーティストからどれほどリスペクトされているか、その辺を感じていただければ…。
- Peggy Sue / The Beach Boys (1978)
- Rave On / Nitty Gritty Dirt Band (1970)
- Raining In My Heart / Leo Sayer (1978)
- Words of Love / The Beatles (1964)
- Well All Right / Blind Faith (1969)
- It Doesn't Matter Anymore / Eva Cassidy (2002)
- That'll Be the Day / Linda Ronstadt (1976)
- Everyday / James Taylor (1985)
- Not Fade Away / The Rolling Stones (1964)
- Learning the Game / Andrew Gold (1976)
- Love's Made a Fool of You / The Bobby Fuller Four (1966)
- True Love Ways / Cliff Richard (1983)