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Nothing But Pop File, vol.77: Haikara is... Beautiful - Happy End Selections

NBPファイル vol.77:はっぴいえんどセレクション〜はっぴいえんど+風街ろまん+HAPPY END再発記念

去年の夏、『ロック・ファミリー・ツリー』という書籍を紹介した際、若き日の細野晴臣、大滝詠一、松本隆、鈴木茂がかつて、ほんの数年間ではあったものの、溢れんばかりのフレッシュな才能を結集させていた奇跡のバンド、はっぴいえんどに関するちょっとした思い出話を書かせていただいたことがある。改めてここに引用しておきますが。

今から40年近く前、1983年のこと。『はっぴいえんど伝説』って本を出したことがあって。これがぼくが書き下ろした初の単行本だった。

文字通り、ロック・バンド“はっぴいえんど”の歴史をたどりたいなと思って書いたもの。今では“はっぴいえんど史観”とかいう言葉まであったりして。誰もが彼らの歩みと功績をそれなりに知っているように見えるけれど。当時はまだ、“誰もが”と言えるほどその存在が頻繁に語られることもなく。

でも、ちょうどその時期、大滝詠一が『ロング・ヴァケーション』や『ナイアガラ・トライアングルVol.2』などヒット・アルバムを連続リリースしていて、細野晴臣がYMO以降の大当たりをかっとばしていて、松本隆が作詞家として八面六臂の大活躍を展開していて、鈴木茂がセッション・シーン屈指のギタリスト/アレンジャーとしての地位を確立していて。すでに解散して10年を経ていたはっぴいえんどの存在がシーン全体にアメーバ状に広がっていたような、そんなタイミングだったこともあり、はっぴいえんど結成以降10数年の流れをドキュメント的にまとめてみたいな、と。そう思って書いた本。

まあ、今から思えばけっこう若気の至りというか、勇み足ぎみの記述も多く、ちょっと恥ずかしくもありますが(笑)。思い出の一冊ではあります。

“今から40年近く前”とか書いてますが。去年書いたものなので。今年から振り返れば、これ、ちょうど40年前、はっぴいえんどが解散して10年目の話だ。てことは今年、2023年で彼らが解散して50年。もう50年! 半世紀! やー、長かったような、あっという間だったような、そんな50年。

その間、事あるごとに彼らが残した3作のオリジナル・アルバム、1970年の『はっぴいえんど』(通称“ゆでめん”)、1971年の『風街ろまん』、1973年の『HAPPY END』は繰り返し繰り返し再発され続けてきたのだけれど。

さすが解散50周年ということもあってか、このほど音源の配給元がソニーへと移ったタイミングでまたまた新たな再発が実現しました。今回はいつにも増して気合いの入った再発になっていて。初回限定盤はBlu-spec CD2仕様。すべて貴重なボーナス音源入り。当時のメンバーたちのレア・ショットやら、トラック・シートやら、歌詞の手書きメモやら、コード進行表やら、関係者たちへの取材やら、レコーディング記録やら、リアルタイム世代から若い世代まで様々な視点で綴られた解説やらを詰め込んだ豪華ブックレットも付いてます。不肖ワタクシめも光栄なことにファースト・アルバムの解説に名を連ねさせていただておりますが。

もちろん音質的にも最新リマスタリングがほどこされて、ぐっとアップグレードされている。特に『風街ろまん』。注目だ。『風街』は当時、収録全12曲それぞれのオリジナル・ミックス・マスター12本をつないで1本のマスター・テープを作る際、すべてをスプライスしてつなげるのではなく、テープ・コピーしながらA面B面それぞれ1本ずつにつなげる方法をとったらしい。この段階でEQしたりレベルを整えたり、簡単なプリ・マスタリング作業が行なわれていたということか。で、これまでの再発はすべてこのプリ・マスタリングがほどこされたコピー・マスターを使って行なわれてきたのだとか。

でも、これだと当然1回分ダビングが増えているわけで。テープ・ジェネレーションが一世代分落ちる。なので今回はそうではなく、その一世代前、1曲ごとのオリジナル・ミックス・マスターにまでさかのぼってリマスタリングが行なわれたという。素晴らしい。当然そのほうがテープもあまり擦られていないだろうし、音もフレッシュなはず。そのおかげなのか、リマスタリング技術の進歩ゆえなのか、とにかく今回の音はぐっと太い気がする。そんなあたりも見逃せない今回の再発です。

というわけで、本ブログのスロウバック・サーズデイ恒例NBPプレイリスト、今週ははっぴいえんどで盛り上がります。というか、ぼくが毎週月曜深夜にFMヨコハマから放送している『otonanoラジオ』との勝手な連携なのだけれど。

今回の再発を祝って、今週月曜に放送された『otonanoラジオ』最新回のゲストは鈴木茂さん! 当時のことをあれこれ語っていただきました。聞き逃した方はradikoとか使ってぜひチェックしてください。来週も引き続き茂さんが来てくださいます。そちらもぜひお楽しみに。

で、『otonanoラジオ』では毎回、ゲストとのトークを受けてぼくがストリーミングのプレイリストを選曲していて。そこでは、茂さんを迎えた回に合わせて、ぼくが好きなはっぴいえんど絡みのナンバーを12曲セレクトしています。番組ホームページのほうで簡単な解説付きで公開中。なので、それ、こちらでも共有させていただきつつ、今週のNBPプレイリストに代えさせていただきます。はっぴいえんど名義の音だけでなく、彼らがバッキング演奏を担当した曲なども交えたセレクションです。お楽しみください。

【追伸】
ちなみに、今回のはっぴいえんど再発は、日本のインディーズの草分け、URCレコードの諸作をソニーが配給することになった一連の再発シリーズの一環。このURCレコードが創設される前後のあれこれを、当時、URCに深く関わっていらっしゃった小倉エージさんに根掘り葉掘りうかがうインタビューが、今月半ばに公開がスタートするオンライン音楽誌「Eris」最新40号に掲載されます。インタビューの聞き手は北中正和さん。構成はぼくが担当しました。

エージさんと北中さんという、『ニューミュージック・マガジン』出身の音楽評論家ツートップによる夢の対談とも言える企画で。これはぼくのような世代にとってはちょっと感慨深い記事になっていると思います。詳細はまたインフォメーションさせていただきますので、お楽しみに!


Haikara is... Beautiful - Happy End Selections

App Icon Apple Music
  1. 明日あたりはきっと春 / はっぴいえんど (1973)
  2. はいからはくち ("CITY"ヴァージョン) / はっぴいえんど (1971)
  3. 失業手当 / 高田渡&はっぴいえんど (1971)
  4. 抱きしめたい / はっぴいえんど (1971)
  5. かくれんぼ / はっぴいえんど (1970)
  6. 雨あがりのビル街 (僕は待ちすぎてとても疲れてしまった) / 遠藤賢司 (1970)
  7. あしたてんきになあれ / はっぴいえんど (1971)
  8. ゼニの効用力について / 加川良 (1971)
  9. 相合傘 / はっぴいえんど (1973)
  10. 朝 / はっぴいえんど (1970)
  11. 愛する人へ / 岡林信康 (1970)
  12. 春よ来い (Live) / はっぴいえんど (1973)
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