SZNZ:スプリング/ウィーザー
“SZNZ”と書いて“シーズンズ”。
ウィーザーがかねて予告の通り、4枚の新作リリース・シリーズをスタートさせた。“シーズンズ”と題されたシリーズで、3月20日に第1弾として春編が出て。以降、6月20日に夏編、9月22日に秋編、12月21日に冬編、それぞれ違う音楽性をたたえつつ、季節の変わり目にリリースされる予定だとか。もともとはフル・アルバム4枚とか噂されていたけれど、そこは無理せず、EP4枚ってことになったみたい。
ということで、春編、デジタル・リリースされました。全7曲入りのEPで。なにやらボーナス含む8曲入りのヴァイナル・ヴァージョンのリリースもあるとかないとか。まだ残りの夏秋冬の各編は制作されていない段階なので、今後どういうフォーマットに落ち着くのかよくわからないものの。とりあえずは7曲入りの春編。ストリーミングで楽しみました。
いきなりノッケ、ヴィヴァルディの『四季』から「春」のメロディを流用し、シェイクスピアへの敬愛を表した歌詞を乗せて、いかにもリヴァース・クオモらしいポップなフックと組み合わせた「オープニング・ナイト」でスタート。ヴィヴァルディの旋律を引用しているからといって去年のオーケストラ・ポップ作『OKヒューマン』のようなアプローチをするのではなく、かといってその後立て続けに出した『ヴァン・ウィーザー』のように思い切りハードに切り込むわけでもなく。その中間、ウィーザーらしいキャッチーな、でも屈折気味のセンスをたたえた、いい塩梅のパワー・ポップ・サウンドでアルバム全体を貫いている。
確かにウィーザーというと、歌詞的には秋とか冬とかっぽい、ちょっと内省的な感触のものが多い印象があるし、サウンド的に夏っぽいこともあるし…。あまり春ってイメージはないのかな。でも、ピーター&ゴードンかJ.フランク・ウィルソンか、みたいなシックスティーズふう黄金の循環コードとイノセントなメロディを駆使しながら、“アダムとイヴのように…”というリフレインを繰り返して、余計なものに惑わされずありのままの思いを大切にしようと歌う「ザ・ガーデン・オヴ・エデン」とか、なんとも爽やかで。春っぽい仕上がり。“エデンの園でギターをかき鳴らそう…”という歌詞が頭に残る。
マンドリンのカッティングに導かれて始まる「ア・リトル・ビット・オヴ・ラヴ」とか、オーガニックな手触りとウィーザーっぽい太いグルーヴとの交錯具合が絶妙だし、“どう生きればいいのか、どう愛すればいいのか、どう与えればいいのか、どう歌えばいいのか、忘れちゃったよ、口にマスクをしていたら…”という今どきならではの歌詞を胸キュン系メロに乗せて歌う「オール・ジス・ラヴ」とか、テンションを活かした美メロとパワー・コードとが交じり合う「ワイルド・アット・ハート」とか、どの曲も好き。
夏秋冬も楽しみにしてます。夏はダンス・ロック、秋はストロークスふう、冬はエリオット・スミスふうらしいけど。ほんとかな。