Disc Review

Van Weezer / Weezer (Crush Music/Atlantic)

ヴァン・ウィーザー/ウィーザー

一昨日くらいに、テレビでビル・ゲイツの離婚報道見ながら、あー、発売日の深夜0時に秋葉原行ってWindows95買って、ぎりぎり終電で帰って速攻インストールしたっけ…とか懐かしい気分にふけっておりましたが。Windows95と言えば、ウィーザー。インストール用CDに彼らの「バディ・ホリー」のビデオ・クリップが入っていた。あれ、なんだかうれしかったなぁ。

と、そんなウィーザー。新作です。ウィーザーがハード・ロック〜ヘヴィー・メタルを? ということで、一昨年、2019年初頭にその制作ニュースが伝えられて以来、期待と不安渦巻く中、なにかと話題を集めまくってきた問題作、ついに登場です。

もともとフロントをつとめるリヴァース・クオモはキッスとか大好きだったみたいだし。ギターのブライアン・ベルはブラック・サバスのファン。ベースのスコット・シュライナーはスレイヤーとメタリカ。ドラムのパトリック・ウィルソンはヴァン・ヘイレンとラッシュ…。まあ、バンドやってる男の子たちはアメリカだろうと日本だろうと、大方そういうものかも。実際、一昨年、突然リリースしてくれたカヴァー・アルバム『ウィーザー(ティール・アルバム)』でもブラック・サバスの「パラノイド」取り上げていたし。

なんでも、リヴァースはコンサートで「ビヴァリー・ヒルズ」を演奏するとき、レコーディング・ヴァージョンには入っていないハードなギター・ソロを間奏にぶちこむと観客が大いに湧くことを実感して。ならば、ビッグでファットなギター・サウンドをフィーチャーしたアルバムを作ったら盛り上がるのでは…? ということで、この新作の制作を思いついたのだとか。

憧れのヴァン・ヘイレンのバンド名をもじった『ヴァン・ウィーザー』という、ウィーザーらしいいたずら心が炸裂した仮タイトルの下、レコーディングが続けられていたのだけれど。やがて仮タイトルが正式なものへと昇格。ご存じの通り、昨年10月、ヴァン・ヘイレンの中心メンバー、エディ・ヴァン・ヘイレンが他界したこともあり、その報を受けてウィーザーは本作をエディに捧げる1枚にすることを表明した。

当初は2020年5月に発売される予定で、リリース後にはグリーン・デイやフォール・アウト・ボーイとのジョイント・ツアーも計画されていたけれど、すべて新型コロナのパンデミックゆえ頓挫。今年のアタマにいったん、ヘヴィー・メタルものとは真逆とも言うべきふくよかなオーケストレーションとの共演アルバム『OKヒューマン』を急遽リリースしたりしながら計画を立て直し、ほぼ1年遅れのスケジュールでめでたく『ヴァン・ウィーザー』が届けられた、と。そういう感じだ。

とはいえ、当初の発売日告知とともに、2019年2月、いち早く先行公開された「ジ・エンド・オヴ・ザ・ゲーム」を聞いて、たぶん誰もが感じたことだろうけど。確かにイントロとかもろ、わかりやすくヴァン・ヘイレンしてるんだけど、曲に入ると、なんだよ、別にヘビメタじゃないじゃん、みたいな(笑)。

その後も、去年の5月に、パンデミックと闘いながら最前線でがんばってくれているエッセンシャル・ワーカーたちに捧げる「ヒーロー」を、8月に映画『ビルとテッドの時空旅行〜音楽で世界を救え!(Bill & Ted Face the Music)』のサントラにも起用された「ビギニング・オヴ・ジ・エンド」を、そして今年に入って、先月、さらなる先行トラック「アイ・ニード・サム・オヴ・ザット」をそれぞれリリース。その辺の曲もどれもメロディ的にはどうにもこうにもウィーザー的だったりして。

要するに、いかにもウィーザーっぽい楽曲を、いつも以上の轟音ギターによるリフとか、ライトハンド奏法などもふんだんに盛り込んだいかにもハード・ロックっぽいギター・ソロとかでバックアップした1枚という感じ。歌詞のそこかしこにも、確かにハード・ロック/ヘヴィー・メタルっぽい固有名詞とかが印象的に散りばめられてはいるものの。しかし、楽曲そのものは思いの外、ごくフツーにパワー・ポップしているだけ、みたいな…(笑)。

なので、逆にすごくいいです。逆に…って、何が逆なんだかわかりませんが(笑)。とにかくごきげんにノリノリ。

もともとウィーザーは1994年のファースト・アルバム『ウィーザー(ザ・ブルー・アルバム)』とか、1996年のセカンド『ピンカートン』とかでも、けっこう轟音パワー・ポップっぽいアンサンブルを構築していて、それが大きな魅力だった。2002年の『マラドロワ』なんかでもけっこうファズっぽいリフが楽しめたし、2010年のレア・トラック集『デス・トゥ・ファルス・メタル』とかでもタイトルとあいまった感じのハードな音像が印象的だったし。要するに、そこに立ち返ったかのような、古くからのファンにとっては思いきりうれしい新作なのでありました。

冒険的かどうかという意味合いでは、むしろアコースティカルなラージ・アンサンブルに挑んだ前作『OKヒューマン』のほうが断然チャレンジングだったかも。

ラストを飾る「プレシャス・メタル・ガール」なんて、タイトルには“メタル”って入っているとはいえ、初期の「バタフライ」とか、近年の「エンドレス・バマー」とか、あの辺を思い起こさせるアコースティック・ギターのシンプルな弾き語りにキュートな美メロを乗せた小品だったりして。いやー、ウィーザー、いいです。やっぱり。ごきげん。

全世界1100セット限定、「ビギニング・オヴ・ジ・エンド」と「ヒーロー」の別ミックス入り稲妻型ピクチャー・ディスク+紫色のカセット+ステッカー+リトグラフ+メタル・ピック…みたいな豪華ボックスセットも、110ドル、6月25日発売ってことで、ウィーザーのウェブ・ストアで売ってます(笑)。

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