Disc Review

Spoke / Calexico (Quarterstick)

スポーク/キャレキシコ

元ザ・フレンズ・オブ・ディーン・マルティネス。ジャイアント・サンドのリズム・セクションをつとめたり、リチャード・バックナーやヴィック・チェスナットと仕事したりしているジョン・コンヴァーティノとジョーイ・バーンズによるデュオ・ユニット“キャレキシコ”のアルバムだ。シングルは聞いたことがあったけれど、フル・アルバムはこれが初めて。1995年暮れにアリゾナ州ツーソンの自宅で8チャンネルのマルチ・レコーダーを使って録音されたものだとか。

キャレキシコってどういう意味なんだろう。キャリフォルニア+メキシコ……ってイメージかな。よくわかんないけど。やたらインナーな手触りのアコースティック・ギターと生ベース、そしてブラシを使ったスネア・ドラムの音を中心に、曲によってマリンバやらマンドリンやらアコーディオンやらチェロやらヴィブラフォンやらが歪みをたたえつつ舞う。でもって、もごもごのヴォーカル。

陰気っちゃ、むちゃくちゃ陰気。陰気でオルタナなテックス・メックス(笑)。

でも、ぼくの耳にはやけにイマジネイティヴに届いた。リンク・レイやダニー・ガットンのトワンギー・ギターに潜むやばい雰囲気と、クリス・アイザックの歌声に見え隠れするクールな内省と、G・ラヴに通じる生々しい荒っぽさと、ベック的な狡猾さと、ライ・クーダーっぽい周到かつ学究的な肌触りと、フォーク・インプロージョンふうのぶっこわれ具合と……いろいろな音楽との共通項を感じた。それが独自の個性にまで昇華しているのかどうかは微妙なところだけれど。

淡々としていながら破壊的。完成度はてんで高くないものの、なんとも離れがたい魅力が漂う1枚って感じかな。

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