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Disc Review

Crown / Eric Gales (Mascot Label Group/Provogue)

クラウン/エリック・ゲイルズ

右利き用のギターをくるっとそのままひっくり返したサウスポー・スタイルで繰り出す強烈なプレイでおなじみのエリック・ゲイルズ。1991年、16歳のときに“ブルース・ギターの神童”とか“伝統の宝庫”とか、とてつもない賛辞とともにデビューを飾ってからもう30年以上になる。

途中ちょっとおいたしてシーンから離れていた時期もなくはないけど、基本的には着実なペースで活動を続け、すでにリリースしたアルバムも20作以上。そんなゲイルズさんが、彼のことを“間違いなく世界最高のギタリストの一人”と賞賛するジョー・ボナマッサとまた組んで、意欲的な新作を届けてくれた。5年間の禁酒期間を経て、さらにはコロナに感染したり大変だった時期をも乗り越えてのうれしい1枚だ。

俺、エリック・ゲイルズだけど、何か? 的な不敵なひとことに導かれてスタートするオープニング・チューン「デス・オヴ・ミー」から、タイトルも含めてもう強力。彼がこれまで個人的に、あるいは社会的に、政治的に、直面し克服してきたさまざまな問題に歌詞で言及しつつ、いきなり大暴れ。意欲的すぎて、ちょっと勇み足気味にあれこれ詰め込みすぎた印象も否めなくはないけれど(笑)。

続く「ザ・ストーム」もそのままの勢いで炸裂。往年のスタックス・ソウルを想起させるホーン・セクションやオルガンなども的確に導入しつつ、現在の環境をめぐるゴタゴタを視野に入れて、“みんなが気持ちを合わせれば/俺の心に陽光が差すはずだ”と歌う。でもって、アルバート・キングばりのソロへ突入。かっこいい。

以降も、短いスニペット的なインタールードを随所に挟み込みながら、真っ向勝負を連発。ごきげんにグルーヴィでファンキーなブルース・ロック/R&Bの雨アラレだ。

ケブ・モとジョー・ボナマッサの共作曲「スタンド・アップ」や「プット・ザット・バック」に託されたメッセージにはカーティス・メイフィールドやビル・ウィザースあたりから雄々しく継承した真摯な思いが感じられるし。奥さまのラドナをヴォーカルに据えてジェイムス・ブラウンのレパートリーをカヴァーした「テイク・ミー・ジャスト・アズ・アイ・アム」では痛快なファンクの伝統を思い知らせてくれるし。アコースティック・ギターを使用した「アイ・ファウンド・ハー」はジェントルな表情も堪能させてくれるし。

トム・ハンブリッジとボナマッサが共作したレイジーな「サヴァイヴァー」でも、“何度も打ちのめされてきた/チェンジ・イズ・ゴナ・カム、変化はやってくると聞かされ続けてきた/けれども、周りを見回してみろ/何ひとつなされちゃいない”とか“でも俺は今もここにいる/俺は生き残った”とか吐き捨てて、まさにジミ・ヘンドリックスばりのギター・ソロへ。同じくハンブリッジ&ボナマッサ作の「トゥー・クロース・トゥ・ザ・ファイア」もいい。ブルージーにスタートしながら、やがてゴスペル的とも言うべき熱狂へと到達するさまが圧倒的だ。

そして、ラストの「アイ・ガッタ・ゴー」。これは実際のライヴでも最後に演奏されることが多いらしきレパートリーで。メンバー紹介とかしながら軽快にジャンプしてみせて締め。

燃えます。

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