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Disc Review

All Things Must Pass: 50th Anniversary Super Deluxe Editions / George Harrison (Capitol/Universal)

オール・シングス・マスト・パス:50周年記念スーパー・デラックス・エディション/ジョージ・ハリスン

ちょっと前にも同じような愚痴を書かせてもらったことがある気がするけれど。

現在、抱え込んでいる大切な原稿の締め切りが過ぎちゃったというのに、なかなかうまく書き進められずにいて。そっちに集中しなくちゃいけないこととか、まあ、他にもいろいろ複雑な事情がごちゃごちゃ絡んできまして。立て直すためにも、趣味のブログ更新に関しては本日でいったんひと息ついて。お盆休みに入ろうか、と。どのくらいの方が日々、本ブログを楽しんでくださっているのかわかりませんが。もしそういうありがたい方がいらっしゃるとしたら、勝手ですみません。来週いっぱいくらいまで夏休みいただきます。原稿書き、がんばります。

で、ブログをお休みする前に、またまたちょいフラゲ気味にでっかいブツをひとつご紹介しておきましょう。ジョージ・ハリスンの『オール・シングス・マスト・パス』。ビートルズ解散直後のジョージが、フィル・スペクターをプロデューサーに迎え、豪華な英米混在ミュージシャン仲間にバックアップされながら築き上げた金字塔。1970年のオリジナル盤発売当時、LP3枚組で。ビートルズの『レット・イット・ビー』に引き続き箱入りで。高価なもんで。中学生だったぼくにはとても手が出せず。シングルの「マイ・スウィート・ロード」だけ買って、あとは友達からLP借りてテープに録って楽しんでいたあの大傑作アルバム。

そのオリジナル・リリースから51年目に、50周年記念箱が出ます。正式には明日発売だけど。ずばり、『オール・シングス・マスト・パス:50周年記念エディション』。

いろいろなフォーマットが出る。7種類かな。いちばん安価なのがオリジナル・リリース時のLP3枚組に収められていた23曲をCD2枚に詰め込んだ2CDスタンダード・エディション。それと同内容の3LPエディション。そこにアウトテイクやジャム音源などを加えた3CDエディションと、同内容の5LPエディション。さらにデモ音源をディスク2枚分追加して、サラウンドとかあれこれぶちこんだブルーレイ・オーディオもつけた5CD+1ブルーレイの6枚組スーパー・デラックス・エディション。そして、WEBストア限定で取り扱う木箱入り8LP+5CD+1ブルーレイ+オマケをたっぷりのウーバー・デラックス・エディション。

ちなみに、3LPエディションにはカラー・ヴァイナル仕様もあり。これを含めると8種類か。これはちょっと惹かれるけれど、最後のウーバー・デラックスって全部乗せ系のやつのほうはオマケが強力なうえにお値段も超強力で。12万円超。子供のころ買えなかった高価なLP3枚組が脳裏をよぎる。これはもう見なかったことにして…(笑)。

やはり、いちばんの狙い目は5CD+1ブルーレイ・オーディオのスーパー・デラックス・エディション、1万8000円くらい、かな。全70トラック入り。前述した通りオリジナル・アルバムの音源は23曲だから47トラックがデモとかアウトテイクとかスタジオ・ジャム。うち、既発は5トラック。それ以外はすべてオフィシャルには今回が初出しだ。

5枚のCDのうち、CD1にオリジナル・アナログLPのAB面。CD2にLPのCD面、およびEF面の“アップル・ジャム”。CD3がセッション初日の1970年5月26日、アビー・ロード・スタジオにリンゴ・スターとクラウス・フォアマンを迎えて録音されたデモ・テイク集。CD4がその翌日5月27日のデモ・テイク集。CD5がセッション・アウトテイクおよびスタジオ・ジャム音源集。で、ブルーレイに映像はなし。オリジナル・アルバム収録曲のハイレゾ音源、サラウンド・ミックス音源などが入っていて。

同梱アイテムとしては、LPに付いていたポスターのコピーや、60ページのソフトカヴァー・ブックレット。奥さま、オリヴィアさんがキュレートしたスクラップ・ブック仕立てだ。未発表フォト、手書き歌詞、日記、メモなど満載だ。息子さんのダーニくんのライナーもあり。

リミックス・エンジニアは最近のジョン・レノンの再発も一手に手がけるポール・ヒックスだ。仕上がりに関して賛否あるのかもしれないけれど、ぼくはとても気に入った。去年の11月に表題曲「オール・シングス・マスト・パス」のリミックス音源が先行リリースされたときも感じた通り、ぐっとタイトに、音像を“締めた”印象で。

まあ、ジョージの存命中、30周年記念盤が出たときにもその傾向は感じたっけ。今回もオリジナルLPを貫いていたフィル・スペクターによる少々過剰なエコー感のようなものを廃して、よりタイトかつソリッドな音像を目指した手触りがある。それが功を奏し、本作の背景に横たわるスワンプ〜サザン〜カントリー・ロック感覚のようなものがより効果的に浮き彫りにされている。

スペクターによる深い残響をともなったオリジナル・ミックスは、確かにまだ誰も彼が編み出した“ウォール・オヴ・サウンド”の何たるかをちゃんと解明できずにいた1970年当時、間違いなく大いなる存在感を放っていたわけで。あれはあれで正解だった。でも、あれから半世紀。少なくとも今、この時代に向けて、ということになると、今回のよりデッドなリミックス、成功だという気がする。

初日デモとか、無垢なワクワク感が伝わってものすごく楽しい。ジャッキー・ロマックスへの提供曲「サワー・ミルク・シー」のアコギ弾き語りデモとか、“ビート・パターンをアップデートした正調ロカビリー”って感じの「ゴーイング・ダウン・トゥ・ゴールダーズ・グリーン」とか、ジョージの大切なルーツを追体験できるようで、ごきげん。「ビハインド・ザ・クローズド・ドア」とか「アイ・リヴ・フォー・ユー」とか、ジョージのカントリー・ロック・テイストをじっくり味わえる曲のシンプルな初期デモも楽しい。

驚きの「ゲット・バック」とか、ジミー・ロジャースのブルー・ヨーデルに挑む「ダウン・トゥ・ザ・リヴァー」とか、豪華なスワンプ系参加メンバーの腕がうなるジャム「オールモスト・12バー・ホンキー・トンク」とか、いろいろお楽しみも多い。先行公開されたうちの1曲、「イズント・イット・ア・ピティ」のテイク27のぐっと抑えた展開にもしびれた。同曲テイク14の“こんな何回もやり直さなきゃいけないなんて最低だ…”というお遊びっぽい歌詞違いヴァージョンにもニヤリ。

お盆休み中、じっくり聞き込みます。

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