Disc Review

50th Anniversary Electric Light Orchestra

デビュー50周年“ELO祭り”

ジェフ・リン〜ELOまつり再び。

てことで、これまたひとつの50周年企画。ポップ・サイケ〜ポップ・プログレ・バンド、ザ・ムーヴのメンバーだったロイ・ウッド、ジェフ・リン、ベヴ・ベヴァンの3人が、ストリングス・セクションを導入したロック・バンドという新たなコンセプトの下、“エレクトリック・ライト・オーケストラ”という名義を併用するようになったのが1970年。しばし二つのバンド名を使い分けながら活動していたものの、やがてELO/エレクトリック・ライト・オーケストラへと一本化。アルバム『エレクトリック・ライト・オーケストラ』で再デビューを飾ったのが1971年。

そこから50年。半世紀。というわけで、日本のソニー・レコードが独自にELO関連アルバムの紙ジャケ再発を本日、どかっとまとめて敢行しましたー。再プレスものもあれば、初紙ジャケ化のものもあり。サブスク時代の本格到来ということで、今後、きっちりした紙ジャケ化プロジェクトというのも減っていくかもしれないので、これまでELO関連の紙ジャケに手を出してこなかった方とかにとっては見逃せない最後のチャンスかも。

ロイ・ウッドが絡んでいる1971年の『エレクトリック・ライト・オーケストラ』と1973年の『ELO2』はハーヴェスト・レコードからのリリースで、契約的に別らしく、今回の再発には含まれておらず。1973年暮れに出たサード・アルバム『第三世界の曙(On the Third Day)』以降の作品群が対象だ。

出る盤をざっとリストアップしておくと——

『第三世界の曙(On The Third Day)』(1973年)
『エルドラド』(1974年)
『フェイス・ザ・ミュージック』(1975年)
『オーロラの救世主(A New World Record)』(1976年)
『アウト・オブ・ザ・ブルー』(1977年)
『ディスカバリー』(1979年)
『タイム』(1981年)
『シークレット・メッセージ』(1983年)
『バランス・オブ・パワー』(1986年)

と、ここまでが以前、ソニーから紙ジャケ化されたものの再プレス。個人的には、まあ、みなさん同じだとは思うけれど、ロイ・ウッド脱退後、彼の意を受けてジェフ・リンが初期ELOのコンセプトを拡大解釈しつつ大当たりをとるようになった『エルドラド』以降が好き。さらに言えば、ELOというバンド名義ながらほぼジェフ・リンのソロ・プロジェクト化した『ディスカバリー』以降も、また別の意味で大好きだ。ここにアルバム半分をオリヴィア・ニュートン・ジョンが担当した映画『ザナドゥ』の抱き合わせサントラを含めれば完璧です。

で、今回の紙ジャケ化に関してはむしろこれ以降が目玉で。

まずは1988年にいったんバンド解散を宣言したジェフ・リンが、トラヴェリング・ウィルベリーズに参加したり、いろいろプロデュース業などに力を注いでいた時期、1990年に制作した傑作ソロ・アルバム『アームチェア・シアター』があって。

そこから10年くらい後、バンド名義の使用に関してようやくメンバー間でそれなりの合意に至ったか、ジェフ・リンがELOという名義を再び使うようになった2001年の『ズーム』があって。

さらに、また10年くらいたった2012年、過去の主要レパートリーをほぼオリジナル・アレンジのまま、最新レコーディング技術のもとで再録音するという、なんか、こう、たぶん楽曲使用に関する契約問題をクリアするための新録ベスト『ミスター・ブルー・スカイ(ザ・ベリー・ベスト・オブ・エレクトリック・ライト・オーケストラ)』ってのがあって。

それと同時リリースのような形で出た、ジェフ・リン、ソロ名義によるカヴァー・アルバム『ロング・ウェイヴ』があって。

2001年に行なわれた『ズーム』ツアーの際、テレビ番組用に収録されたライヴ音源を2013年になってから改めてリリースした『ライヴ』があって。

その後、“ジェフ・リンズELO”と、ELOは俺なんだよ的なことを今さらながらに公言したかのような堂々たる名義でリリースされた2015年の『アローン・イン・ザ・ユニバース』があって。2017年のウェンブリーでのライヴを収めた2枚組『ウェンブリー・オア・バスト』があって。で、今のところ最新作にあたる2019年の『フロム・アウト・オブ・ノーウェア』まで。

ぼくのジェフ・リン〜ELOに対する思いは、以前、『フロム・アウト・オブ…』が出たとき本ブログでもつらつら書かせていただいたので、そちらを参照していただきたいのだけれど。

ロックンロールを含むポップ・ミュージックの伝統のようなものに限りない敬意を払いつつ、それらを今の視点でどう再構築するか、どう継承すればいいか…そうした永遠の命題に対し、けっして揺らぐことなく挑み続けるジェフ・リンはやっぱりかっこいい。そして、ジェフ・リンそのものが、敬意をもって継承されるべきポップ・ミュージックの新たな伝統へと昇華していくわけだな、と。思うわけです。

で、今日はどのアルバムにリンクを貼っていいのかよくわからないので(笑)、ストリーミングとか、なしで。ジェフ・リンの傑作ソロ『アームチェア・シアター』の今回リリース分にリンクしておきます。こことかこことか参照しつつ、いろいろ捜してみてください。ちなみに、ぼくがFMヨコハマでDJを担当している『otonanoラジオ』の最新回もELO〜ジェフ・リン特集です。今夜までラジコで聞けるみたいです。よろしければ。

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