Disc Review

Phosphorescent / Gabrielle Aplin (Never Fade Records)

フォスフォレセント/ガブリエル・アプリン

もともとはYouTubeに投稿したユー・ミー・アット・シックスとかケイティ・ペリーのカヴァーとか、地元の英国でクリスマスCMに使われ話題を呼んだフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのカヴァーとか。そういうのをきっかけに知名度を上げていった我らがギャビーですが。

ご存じの通り、この人、自らも素敵な曲を書くシンガー・ソングライター。そっちの面でもデビュー以来10年ちょいのキャリアを通して着実に成長を続けている、と。そんなソングライターとしての成長ぶりを改めて強く印象づけてくれる4作目のオリジナル・アルバムの登場です。

Spotifyだけで2億1000万回以上ストリーミングされたという前作『ディア・ハッピー』は、本格デビュー以来、世界各国を巡る中で触れ合った多彩な文化のようなものも反映した、ある意味“外向き”な仕上がりだったわけだけれど。対して、本作はパンデミックの下、ひとり自らの心の内側と改めて真摯に対峙する中で生まれた楽曲たちのようで。そんな内省的なアプローチがソングライターとしての成長を効果的に促したのかも。そんな感触。

「また自分が楽しむために曲を書くようになったの」と、本作についてギャビーは語っている。「何の制約もなしに自分自身を表現していた。誰もこうしたほうがいいとか言わなかったし、実際、何かしなくちゃならないことなんかなかった。曲作りをスタートしたときにゴールは見えていなかったけれど、曲が仕上がるにつれて、それらは自分がこれまで書こうとしてこなかった事柄に関するものなんだと気づいたわ。みんなパンデミックに強いられるまで立ち止まることなんかなかったと思うし、私も間違いなくそうだった。それまで先延ばしにしてきたことがどれだけたくさんあったか。すべてを奪われたとき、私が何者なのか自分に問いかけるようになったの」

彼女にとってもいろいろな発見があったレコーディングだったということか。今回もリズ・ホースマン、マイク・スペンサーらがバックアップ。ジョニ・ミッチェルやキャロル・キングなど、往年のシンガー・ソングライター然としたアコギやピアノの弾き語り曲もあれば、今どきのサウンド・アプローチばりばりの曲もある。曲ごとにけっこう多彩なアレンジメントが施されているのだけれど。核を成す楽曲そのものの佇まいはエヴァーグリーン感ふんだんで。歌声にもある種の確信が漂って。いよいよ30歳代に入り、持ち前のフレッシュさにちょっとした円熟味も加わってきたのだな、と。

また日本に来てくれたらうれしいな。

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